情報をアップデートし続けながら、体を動かすことで心のバランスを取り、ある意味でロジカルに、システマティックに音楽制作の準備を進めていくYO-KING。
一方、桜井はもっと自然体に、心の赴くままに動きながら曲作りの体制をナチュラルに整えてく。一見まるで違うアプローチを取りながら、同じ着地点を目指しているあたりにも、2人の歩んできた時間の長さや濃さがにじんでいるように思えてならない。
桜井「僕もコロナ禍で曲作りに変化がありました。まず、曲のとっかかりやヒントはメモしておいて、さあ作ろうと思ったときに、地図を広げてピンを置いていくように、どれをどうつなげようか、どのピンを選ぼうかみたいな感じで曲を作っていくんです。そのときに、ギターを持って弾いてみたり、どんな感じの音楽にしていこうか参考になる音楽を聴いたりするんですが、それが結構ひと苦労で。一通り済んで、全体像が何となく見えてきたところで、外に出かけるようにしています。さっきのYO-KINGの話じゃないけど、今までの経験で、全部を部屋の中で仕上げるよりも出掛けて動いて、体がアイドリング状態の方がいろいろと入ったり浮かんだりしやすいですから。コロナ禍で自宅でデモを完成させる時間がたっぷりできたこともあり、ただ歩いてるだけじゃつまらないからいろんな川を下りながら歩くようになりました」
YO-KING「川沿いだと整備もされてて歩きやすそうだよね」
桜井 「そう。それに看板があったり、『ここで川が合流するんだな』とか発見もあって結構楽しいので、1回に4~5キロは歩いちゃいますね。地図を買って『〇月〇日はここまで下った』と記録を付けたりしていますし、川べりに咲いている草花が気になってきて、植物図鑑の小さいやつまで買っちゃって。おじいちゃんの趣味みたいなことをやりながら(笑)曲の構想を練ったりしていました。今って、歩いてる途中で『あ、あんな曲あったな』と思い出しても、サブスクでその場で聴けるようになったのも便利ですよね。川べりに座ってちょっと曲を聞いたりするのが楽しかったりもします。自分自身に何を作ろうとしているのか問い掛けながら、そうやって段々と曲が形になっていくんです」
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