断捨離ブームの青木さやか、母に対して「不機嫌」であった自分を振り返る【青木さやか「娘とわたし」#4】

2022/10/28 19:00 配信

芸能一般 コラム 連載

娘とわたしの祖母。80歳差のふたり(C)青木さやか

タレント・女優として活躍し、昨年は初のエッセイ集『母』が話題となった青木さやか。『母』に描いた自身の母との関係に悩んだ過去を乗り越え、現在は中学生になった娘を育てるシングルマザーである。最愛の娘との日常を描く連載、第4回のテーマは「不機嫌」。母と娘の「不機嫌」に挑んだ結果とは。

やましたひでこさんの「不機嫌」の教え


娘12歳、わたし49歳。

思春期ともいうのか反抗期ともいうのか、娘はわたしの前では不機嫌でいることが増えた。家族が不機嫌でいると、疲れるものだ。娘の不機嫌をわたしの太陽のようなパワーで包み込もう!と一度は決意するのだが、数時間経つと、もーいいわ!と、こちらも不機嫌になっていくのだ。

良くないループにハマっていく。

最近のわたしの趣味は断捨離であるのだが、断捨離の師匠、やましたひでこさんとお食事をご一緒させていただいたとき、とても面白いことをおっしゃっていた。

「さやかさん、ここにはね。3つしか存在しないの」

ニコニコしながらひでこさんはおっしゃった。ひでこさんの笑顔は気持ちがよい。

「3つ、ですか。」
「そう。3つとは。人と、モノと、空気感。それしか、ないの。いつだって」
「人と、モノと、空気感」
「空気感というのはすぐに変わるわけ」
「はい」
「モノをね、いくら断捨離で整えても、空気感が悪いと台無しになるから」
「空気感というのは?なんです?」
「さやかさん知ってる?ゲーテの言葉で、」
「絶対、知らないですね」
「これは、本当にそうだなと思うんだけど」
「はい」
「不機嫌は最大の罪である」
「ほう」
「不機嫌になると空気感は変わるのね、伝染するから娘さんも不機嫌になるわけ」
「なるほど、です」
「不機嫌というのは、実はとても罪深いことで、だからご機嫌でいることが大事」
「ひでこさん、」
「なに?」
「わたしは、30年、母親に不機嫌を渡し続けたと思いますよ」
「そうねえ」
「親孝行って、お金や物を渡すことだと、そんなふうにも思っていたので」
「うん」
「不機嫌な顔してブランドバッグ送ってみたり、家をリフォームしてみたり」
「そのエネルギーが行っていたかもね」
「そう、ですね」
「それなら渡さない方がいいかも、とも言えるかも」
「それほど、機嫌って大事なんでしょうね。わたしね、母と仲直りする時に、自分にミッションを課して行ったんですよ」
「うん」
「よし、今日は謝ろうとか、娘のテスト見せようとか、マッサージしよう、とか」
「うんうん」
「ミッションがあるうちは、楽なんですよ、それをやればいいから。だけど、最も難しかったのは、機嫌の良い空気の中で他愛もない話をすること。これは、これは!もう難易度MAXのゴールでした」
「そうよね、他愛もない話、それもなかなか」
「はい。空気感て、伝わるんだ、とわたしも、それは感じます」
「そう、だから不機嫌て必ず伝わるから、罪深いのでしょうね」
「いゃ〜、難しい、です。一歩外に出ると、不機嫌になる要素が襲いかかってきますよね。ひー。」
「はは、そうね」