――今回、プロレスに触れたことで気付いた競技の魅力があれば教えてください。
メンディー:ただ相手を倒せばいいというわけではなく、会場を盛り上げるために、相手の技を受けるターンと自分が仕掛けるターンがあったり、レスラー一人ひとりにキャラクターがあったりすることが、実にエンターテインメント的で面白いと感じました。
武知:プロレスについて最初は素直に「かっこいい」と思っていたんですけど、体験するにつれて実は芸術性が高い競技だと知り、今では「美しい」という感情で見ています。
――「美しい」ですか。
武知:はい。今回のドラマを通して、一つの技でも一人では完成できなくて、リングで対峙する二人の息と呼吸があった上で成り立つものだと知ったんですよね。二人が放つ一つの技にかける情熱がバーンと跳ねた時に美しさを感じるというか…。なので、「かっこいい」「すごい」というのは大前提として、その奥にある美しさまでたどり着きたいという気持ちで、ハオウを演じていました。
――ヤングケアラー、親ガチャ、闇バイトなど、このドラマでは子どもたちが直面する社会問題が描かれています。メンディーさんはそもそもこういった問題をご存じでしたか?
メンディー:正直、ヤングケアラーや闇バイトに関しては「覆面D」に出演して「こういう現実があるんだ」とはじめて深く知りました。しかも、リサーチャーの方々がそういった社会問題について徹底的に調べ上げたうえで脚本に落とし込んでくれているので、描写がリアルなんですよね。おそらく僕と同じように詳しく知らない人は少なくないでしょうし、作品をきっかけに自分や友人が同じ状況に陥ったらどう対処しようかと考えるきっかけになるでしょうから、そこはこの作品を届ける意味の一つだと捉えています。
――そういった苦しむ子どもたちに対し、大輔はプロレスの力で勇気を与えて、彼らが変わるきっかけを与えていきます。ジャンルは違いますが、エンタメ業界にてパフォーマーとして活躍し、多くのファンに元気を届けている関口さんも、大輔に共感するところはありますか?
メンディー:そうですね。大地大輔は、誰かをコントロールすることなく、自分自身が行動することで、周囲の人たちが何か感じてくれたらうれしいというスタンスの男なんです。僕自身、教育ってそういうことなのかなとも思うんですよね。言葉で言い聞かせるよりも、背中を見せることが一番の教育というか…。子どもたちにとって身近に体現してくれる大人がいるかどうかってすごく重要で、その人に出会えた瞬間、一気に世界は変わるものなんです。僕も、HIROさんという人に出会って色々な夢を貰っているんですけど、そういう夢を与えられる一人になりたいと常々思っています。だからこそ、自分が一番挑戦し、挑み続けることで人生が豊かになるということを証明しなきゃと考えているので、大輔がプロレスでその思いを体現したように、僕はエンタテインメントを通して挑戦することの大切さを伝え続けていきたいです。
文=こじへい
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)