コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“学校に行きたくない”と思っている高校生の青年が不登校のクラスメイトと関わることによって起こるささいな心情の変化を描いた作品『心の所在』をピックアップ。作者のあやきさんが2022年10月11日にこの作品をTwitterに投稿したところ、1.9万以上(11月10日現在)の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、あやきさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
父親を事故で亡くし、母親の実家に戻った高校生・まひろ。転校先の学校に通うも友達はおらず、祖父母とともに生活する中で飼い犬・ハナ子の散歩が日課となったまひろは、いつも立ち寄る神社でクラスメイトの柴崎とたびたび会っていた。不登校の柴崎は、まひろのことをクラスメイトとは知らずに会うたびハナ子をかわいがる。まひろはその様子を見ながらも、柴崎にずっと声をかけないままでいた。
毎日学校に向かうかたわら、特に理由もなくぼんやりと「学校に行きたくない」と思っていたまひろ。終業式を終えて夏休みに入ったまひろは、いつもの神社で居合わせた柴崎と初めて会話を交わす。まひろに不登校の理由を尋ねられ、美容師の専門学校に行くためにガソリンスタンドでアルバイトをしているからだと明かした柴崎は、なんとなく学校に行きたくないのは理由になんないよね、というまひろに「なんとなくでもいいだろ」と答える。まひろは、その言葉にささやかながら心を動かされていた。
その後、庭にある月下美人の大きくなったつぼみを見て柴崎の髪色を思い出したまひろは、バイト終わりの柴崎を突然自宅に招く。祖母の作った夕食を食べ、月下美人が花開くのを2人で眺めながら、まひろは柴崎に自身の髪をブリーチしてほしいとお願いする。柴崎との夏休みを過ごし、自分とは違う考え方に出会うことで心情に変化が訪れたまひろ。9月になり、これまでとは少し違った気持ちで登校するまひろの後ろを、制服を着て原付に乗った柴崎が追っていく。
多感な10代ならではの心の“モヤモヤ”や、些細な心情の移り変わりを繊細に描いた本作。また、まひろたちの日常を静かな時の流れとともに描いたシンプルで“ゆるい”雰囲気も話題となり、Twitter上では「清々しい気持ちになりました」「とても癒される」「少し前向きな気持ちになれた」「静かに深くグッときた」「心が浄化されました」「定期的に読みたい作品」などのコメントが寄せられ、注目を集めている。
――『心の所在』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
自宅に月下美人があり、特徴的な花なので月下美人をモチーフにした話を描きたいと思ったのがきっかけです。
――『心の所在』では、まひろが不良クラスメイト・柴崎と関わるようになってからのささやかな心情の移り変わりが繊細に描かれているのが印象的です。まひろと柴崎のキャラクターは、どのようにして生み出されたのでしょうか。
特別な何かがあるわけじゃないけど、学校に行きたくない…と学生のときわたし自身が思っていたので、その気持ちを思いだしてできたのがまひろです。優等生と対照的といえばやんちゃっぽい子だな、会話をさせたらまひろの気持ちが変わるようなキャラがいいな、で柴崎になりました。
――『心の所在』 の中で、あやきさんが特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
祖父がガソリンスタンドで、犬の名前を訂正してまひろがうつむくところです。散歩のときにまひろが訂正すればよかったし、話すきっかけにもなったんですけど、それをしなかったことを少し後悔してるシーンです。
学生のとき派手なギャルっぽい子が、わたしが好きなキャラクターのキーホルダーを付けていて、それに「かわいいね！」とも言えず心の中で『好きなんだこの子も…』って思うだけだったのを思い出して描きました。
――あやきさんは本作以外にも、“中高生の青春”をテーマに、日常の中で日々こっそり変化する彼らの心の内を切り取った作品を多く描かれています。あやきさんにとって、ストーリーや登場人物を創作する際のこだわりがあればお教えください。
探したらどこかに居そうな人を描きたいなと思っています。これまで出会ってきた人たちや、街で見かけた人の記憶を引っ張り出してキャラを作っている気がします。
――今後の展望や目標をお教えください。
SNSなど活用しつつ、できる限り製作したものを発表できたらと思います。商業誌でも活躍できるよう精進します。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
漫画を読んで下さってありがとうございます！次もまた読んでもらえるようにがんばります！
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