お笑いフィジカル勝負「霜降りバラエティX」/テレビお久しぶり#23

2022/11/04 21:30 配信

バラエティー コラム 連載

「テレビお久しぶり」(C)犬のかがやき

7年ぶりにテレビ番組を見るというライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は、「霜降りバラエティX」(毎週土曜深夜3:00-、テレビ朝日)をチョイス。

テレビで見たいトーク合戦「霜降りバラエティX」


この『テレビお久しぶり』の連載が始まってから、意識的にテレビ番組を見るようになった。基本的にどの番組も楽しんで鑑賞できているつもりなのだが、ふと「自分が見たいテレビ番組って何なんだろう」と原点に立ち返ってみると、なかなか答えが出なかったりする。自分はロケ番組が好きなのだという自負があったものの、言い切るにはいまいち自信が持てない。たとえば映画であれば好きなジャンルというものが明確に決まっているし、YouTubeだって自分の見る動画の傾向というのも何となく理解しているのだが、自分の好きなテレビ番組のジャンルとなると難しいのだ。これは、テレビというものに対し、あくまで受動的な立場を取っているからだと思う。決まった時間に見るというよりは、テレビをつけて、何となくやってるのを眺めるという、自分の中でテレビというものはそういうものだった。

しかし、今は家にテレビがなく、いつもTVerで番組を鑑賞しているので、自分から見る番組を選ぶ作業が必要になる。そのとき、自分のテレビ番組の好みがいまいち分かっていないので、なんだかやたら時間がかかる。サブスク全盛期、膨大なコンテンツを前に何を見るか決められず時間だけが過ぎ去っていくあの虚しさに覚えのある人は決して少なくないだろう。電源を入れれば何かしらの番組が放送されていて、(ザッピングなど最低限の操作はあるものの)それを適当に見るだけでよかったテレビというものさえ、今は自分の中でサブスクと同様になっている。時間を無駄にしないためには、自分の好みに愚直に従うことが必要だ。自分が好きなテレビ番組のジャンル、これを確立しなければ、時間は吸われていく一方だ…。

などと考えながらTVerを漁っていると、霜降りバラエティXという番組が目に入り、最近しもふりチューブばっか見てるしちょうどいいな、と思い再生すると、『寝る前王』という企画がスタート。それぞれ布団に仰向けになった芸人8人を真上から撮ったビジュアルに心を惹かれ、『寝る前に一番面白いのは誰か』というただそれだけを決めるという内容に、あ、これだ!と確信をする。自分がテレビで見たいのは、何よりもトーク合戦であったのだ。

霜降り明星ロングコートダディハナコ秋山・菊田、おいでやす小田ナダルといった達者ぞろいがただ横になって、面白いと思われたいがために話している。そういえば昔、『ざっくりハイタッチ』の車中トークが大好きだった。面白い人間と面白い人間がただ話す、それだけで他の追随を許さぬ最強の娯楽。面白さをどう突き詰めたって、最後にはフィジカルがモノをいう、その単純さが心地よいのかもしれない。

一番面白いと思った芸人に枕を投げるという投票のやり方といい、おいでやす小田の持ち味をうまく使った『小田髭危機一発』など、”提案者”としての霜降り明星が素晴らしい。これこそがフィジカル、こういうヤツが友達にいたら人生は数倍楽しい。せいやによる、ロングコートダディのモノマネも凄かった。ここでいささか唐突ながら、私の選ぶ、友達になりたい若手芸人ランキングベスト3を発表して、締めさせていただきます。【3位】せいや 【2位】ケツ 【1位】辻 ありがとうございました。