中井貴一、世界最大の絵画にうっとり「とてもぜいたくな時間だった」

2017/06/07 06:00 配信

芸能一般

ミケランジェロの代表作「最後の審判」を観賞する中井貴一(右)(C)BS-TBS

BS-TBSでは、6月13日(火)と6月20日(火)の夜9時から2週にわたって「~中井貴一 ヨーロッパ大紀行II~ 世界を創った天才たちの素顔 ダ・ヴィンチvsミケランジェロ」を放送する。中井貴一がルネサンス期に活躍した芸術家たちの謎を解くため、ヨーロッパを巡るドキュメンタリーだ。

過去に、レオナルド・ダ・ヴィンチの人生をたどる旅をした中井が、今回はダ・ヴィンチのライバルとも呼ばれるミケランジェロ・ブオナローティの謎を追う。

イタリア・イモアでは、ミケランジェロの代表作である「ヴァチカンのピエタ」の習作と対面。さらに、ヴァチカンではサンピエトロ大聖堂や、システィーナ礼拝堂など、ミケランジェロの作品が飾られる場所へと足を運ぶ。

今回の旅は体力的にも過酷だったと語る中井。そんな長旅を終えたばかりの中井に、旅の思い出や、芸術家たちへの思いを語ってもらった。

――今回のロケの感想をお願いします。

「今度イタリアにロケ行くんだ」って周りに言ったら、とてもうらやましがれたんですがそんなロケではなかったです(笑)。毎朝5時に起きて、ものすごく大変でしたよ。なるべく人のいない時間帯を狙って動くので…。

前回はダ・ヴィンチの謎をずっと追ったんですが、その一番最後に、どういうわけか「ロンダリーニのピエタ」というミケランジェロが最後に作ったピエタを見て、非常に感銘を受けたんです。

前回はダ・ヴィンチがメインだったので、そこはフィーチャーされなかったんですけれども、ダ・ヴィンチを追えば追うほど、ミケランジェロという存在がすごく大きくなってくるんです。

ルネサンスという時代を彩ったこの二人が、好敵手であり、いいライバル関係にあったんじゃないかと感じていたので、ダ・ヴィンチをやったならやっぱりミケランジェロの旅もやっておきたいなとは強く思っていました。

意外と日本人ってルネサンスという時代を分かっていない気がして。弾圧を受けていた時代に、芸術や小説などで自由な変人たちが認められるようになったのが、このルネサンス期だったんですよね。

それが今の日本にも必要なんじゃないかというのも、今回旅をした理由でもあります。約500年前を通して、今自分たちに必要なものは何かっていうのが少しでも伝わればいいなという気がしまして、いろんなところを歩いてきました。

――今の日本に変人が必要だと思う理由は何でしょうか?

人間が作る社会は、矛盾だらけだと思うんです。もっと自由な発想が今の時代に生まれてこないと、どんどん同じ方向へ流されていってしまうような気がするんです。今のような時代だからこそ、もっと自由が必要だと思います。

ダ・ヴィンチや、ミケランジェロたちの時代は決して自由な時代ではなかったと思うけれど、その中で必死に見いだしていこうとする努力が、偉人だったと思うんです。

――今回の旅で、心の変化はありましたか?

前回の旅で、「ロンダリーニのピエタ」を見た時とても悲しく見えたんです。けれど、今回ずっとミケランジェロの若き時代からを追っていって、最後のピエタにたどり着いたとき、生きる力を感じたんです。

作品というものを単発に見て語るってだめなんだなと思いました。人となりを知ることによって、その作品が見えてくるんだってことが、より強く分かった気がしましたね。

――ダ・ヴィンチやミケランジェロの人生をたどって、意外に感じた部分はありますか?

2人とも、知れば知るほど人間なんだなっていう感じがします。偉人というか、手の届かない想像上の人物のような気がするじゃないですか。でも、生きていた一片を知ると、この人たちも人間なんだなって。

いろんなことができる彼らのような人が今もどこかに存在していると思うけど、発明が進んで、自動的に生きられるようになってきて、脳が動く率がどんどん少なくなっていって…。もしかしたら人間って、退化していってるんじゃないかと思うんです。この時代を知ろうとすると、自分たちの情けなさが分かりましたね。

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