コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、遺伝子工学によってどんな形の鶏も作れるようになった昭和100年を舞台に、転売が横行し面倒なことに巻き込まれる『にわとりや』をピックアップ。この作品は2010年に描かれたものだが、2022年10月20日に作者の高川ヨ志ノリさんがTwitterに『「転売の自由」のアレは、図に乗りすぎるとアレですよねと思うなど。』として投稿したところ、3.3万以上(11月7日現在)の「いいね」が寄せられ、反響を呼んだ。この記事では、高川ヨ志ノリさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
舞台は昭和100年。遺伝子工学によってどのような形の鶏も作れるようになった世界では、個人の趣味として遺伝子組み換え鶏「娯楽鶏」が出回っていた。ある時、謎の業者が現れ、「その鶏を売ってもらえませんか」と飼い主に申し出る。
はじめのうちは個人間での小さなやり取りがおこなわれていたが、発注単位を増やす者や仲介業者に仕入れる者など面倒なやり取りが増えてきた。すると、謎の業者から"クレーム"が入るようになる。面倒な"クレーム"はさらに増長し、さらに面倒なことに巻き込まれるようになっていく。
その後、転売により「娯楽鶏」はブームとなったものの、存在自体が禁止されているものが表沙汰となってしまい…。
個人で"ひっそりと"楽しんでいたものを、転売屋によって荒らされる世界を描写した本作。Twitter上では「絵も内容も好き」「最高に皮肉めいた内容」「同好の主同士でシャレとしてひっそり楽しみたいものです」など、読者から多くのコメントが寄せられ、注目を集めている。
――高川さんが「転売ビジネス」をテーマに創作したきっかけや理由がありましたらお教えください。
「にわとりや」は2010年に描いたものなので、厳密には現在の「転売ビジネス」そのものがテーマではないのですが、当時の仕事の中でそれに近い何かに対して多少腹の立つことがあったため、折角だから漫画の土台にして腹立ちの元を取ってやろうという感じで描きました。
――『にわとりや』を描く上でこだわった点や、作品を通して読者に伝えたかったメッセージがありましたらお教えください。
どの界隈について描いたのか、というのは敢えて断言しませんので、あの「変な形の鶏」は、読んでくださった皆様各自の思う「グレーゾーンの趣味」に置き換えていただければ幸いです。
――「転売」ときくと、ゲームやグッズなどレアリティが高いものを想像します。なぜ転売の対象を「鶏」にしたのでしょうか。
架空の時空上にある架空のお話なので、そちらでは全然違うものが流行っているだろうなと、あと単純に変な鶏が描きたかった時期なのであのような漫画になりました。
――高川さんは『にわとりや』以外にも世の中の世知辛さをテーマにした作品を多く描かれているとお見受けします。漫画のネタを考える時に意識していることや今後描いてみたいテーマなどがあればお教えください。
基本的に「自分のマイナス感情」を漫画に変化させて吐き出すタイプの人間なので、それをどれだけ「ただの不快な話」にはならないようにするか、というのは意識しています。
近年はワラジ虫の観察漫画のようなあまり自分の感情を土台にしない漫画等を描いており、世知辛い路線からは少し離れていましたが、また腹立ちネタを土台にした漫画も描いてみたいですね。
――今後の展望や目標などがあれば教えてください。
十年以上前に同人誌として出していた世知辛い系の漫画に、思いも寄らない需要があるということが分かったので、来年あたりにこれらの再録集的な同人誌を作ってみたいですね。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
今まで読み支えてくださった方々も、新しく知ってくださった方々も、全方位的に有難うございます。多分一生何かしら描いていますので、今後もお付き合いいただければ嬉しいです。
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