<ズートピア+>名作映画のオマージュも…ユーモア&ウィットに富んだ短編シリーズで心ぽかぽか

2022/11/12 11:10 配信

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「ズートピア+」(ディズニープラスで配信中)キービジュアル(C) 2022 Disney

「ベスト・オブ・動物アニメのひとつ」との声も高い大ヒットアニメ映画「ズートピア」(2016年)から、もう6年。その続編といえる「ズートピア+」が11月9日に配信開始。再び動物たちが人間のように暮らす楽園<ズートピア>が舞台となる本作は、ウサギの新米警官ジュディとキツネの詐欺師ニックが楽園の真実を追い求める“裏側”で起きていた出来事にフォーカスを当て、個性豊かな人気のキャラクターたちが中心に描かれる短編シリーズだ。今作から見始めた人も、すでに映画版に親しんでいる方にも、驚きと発見に包まれるに違いないストーリーが続くはずだ。(以下、ネタバレを含みます)

「自分の殻を破る」ストーリーが展開

「ズートピア」(ディズニープラスで配信中)より(C) 2022 Disney


映画版は100分を超える尺だったが、今作は各話10分程度で、そのうち約半分はエンドロールに費やされる。あちらが長編アドベンチャーだとすれば、こちらは短編小説あるいは四コマ漫画といえばいいか。大まかなテーマは、「自分の殻を破る」。寝る前にちょっと見るのもいいだろうし、気分を上向きにするために登校前や出勤前にサクッと1話見るのもいいだろう。TikTokが普及し、「前奏やギターソロを飛ばして音楽を聴く人」の話題がネットニュースの題材になったりもして、きっと今は「長いものをゆっくりと」よりは「短いものをより多く」がキャッチーな時代である。今作の所要時間は、そうした空気も反映されてのことだと思うが、物語は性急でもなんでもなく、しっかり描かれて、見る者の心に確かな印象を刻む。

映画「ゴッドファーザー」のオマージュも?

全6話の中で、個人的に興奮させられたのは第4話「花嫁のゴッドファーザー」。裏社会で恐れられているトガリネズミのミスター・ビッグが語る、波乱万丈の半世紀だ。ズートピアに“移民”し、小動物ならではの苦労を味わいつつもやがて覚醒し、現在の地位を築くまでのサクセス・ストーリーが、ハスキーな声と酔ったような口調で語られる。恐らく1970年代の大ヒット映画「ゴッドファーザー」シリーズへのオマージュであろう。一介の小ネズミがミスター・ビッグへと認められていく過程を見ていると、「へこたれずに、信念をもってやりつづけること」の大切さを、あまりにも思い知らされる。

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