また、第6話「ディナー・ラッシュ」には、「ああ俺も私もこんな経験があった」と共感する人が多いのではないかと思う。仕事が時間との闘いであるということは人間界も動物界も同じであるようだ。主人公はレストランに勤めるカワウソのサム。彼はズートピアの大スターである女性シンガー、ガゼルの大ファンで、運よくチケットを手にすることができた。
しっかり仕事を済ませて、コンサートに間に合うようにしたい。いまのところ流れは快調、しかしそこにミユビナマケモノのカップルがやってきて突如物事がスローテンポになる。是が非でも時間通りにコンサートに行きたいサムの心は一気に乱れだすのだが、このあとに実に心がぽかぽかになるオチが、しかも二段に展開する形で待っている。イライラで物事が解決しないことを、人間以上に動物たちは知っている。
他にも「ジュディと共にうっかりズートピア行きの列車に乗ってしまった末娘を必死に追い掛けるジュディの両親の話」「イイズナのデュークが大活躍するミュージカル」「ガゼルのバックダンサーに応募するクロウハウザーとボゴ署長のドタバタ」など、興味深いエピソードがズラリ。
ネズミたちが大活躍する第2話に出てくる「Macy’s」風巨大デパートの名前が「Mousy’s」になっているところも、アメリカ人のダジャレ精神そのものだろう。いずれも映画版「ズートピア」で描かれた物語の、ユーモアとウィットに富んだアザー・ストーリーズで、この楽しさを分かち合うため誰かと無限に話し合いたくなる。
なお、「ズートピア+」はディズニープラスで独占配信中。
◆文=原田和典
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