――吉村さんから連絡があった年の大みそかに撮影されたんですよね。準備期間はかなり短かったのではないでしょうか?
「大みそかに映画を撮る」という電話が10月だったので、準備期間は2カ月くらいでした。こんな短期間で映画を撮るなんて、かなり無理に近い状況だったと思うんですが、それでも、みんなで集まって話していく内に、たぶんそれぞれが「これは撮らなきゃいけないな」って思ったんですよね。「無理だけど、やってみよう」という精神で、時間も予算もない中で、いろんな方を巻き込んで、キャストの皆さんにも集まっていただきました。
――結果的に、大きなトラブルも起きることなかったのでしょうか?
いえ、割と大きなトラブルはいくつかありました。撮影前に監督と連絡が取れなくなったり(笑)。
――どういうことですか?
最終的に、クリスマス前くらいまでに脚本を完全に完成させることになっていたんですが、その期限の日から音沙汰がなくなってしまって。「監督どこにいる!?」みたいなことになったんですが、数日間は音信不通。本番を迎えるのは難しいんじゃないか、となったことがありました。
――まさしくこの作品の吉村さんが劇中で演じる、締め切りに追われる絵描きのような。
本当にそうなんです。アベラさんもそれくらい期限に追い込まれていたんですよね。アベラさんに限らず、皆さん年末までそれぞれが別の現場を抱えていたし、それを抱えながらやっていたというのは、無謀に近いくらいのことでした。
――武田さんはこの撮影の時に大みそかが空いていたということですが、普段はどのように過ごすことが多いですか?
大みそかは実家でゆっくりとしていることが多いです。私は家族と過ごす時間が好きなので、大みそかは好きな時間ではあるんですが、毎年カウントダウン前になると「やり残したことがあったな」とか「来年はどんな年になるのかな」とそわそわするので、あまり落ち着いて年を越した記憶はないんです。目標を作るタイプなので、来年はこういう一年にする、というようなことを考えながら過ごしています。
――では、2022年はどんな年でしたか?
今年はすごく“学びの年”でした。本当にいろんなことを勉強させていただいた一年で、特に上半期は毎日のようになにかをインプットする時間があったんです。今までで初めてなんじゃないかなというくらい、学ぶことに対して集中することができたので、来年はインプットしたものをアウトプットできる年にできたらなと思っています。
――今回の作品に企画から関わったことで、製作に対する関心が高まるようなことがあったのでは?
そういうことに以前から憧れてはいたんですが、今までは自分に与えられた役に向き合うことで精いっぱいだったので「無理だな」と思っていたんです。でも今回、この作品に携わらせていただいたことで、改めてさまざまな部署の方々のプロの仕事を見て、作品作りの奥深さを学べたので、私も映画を企画して作りたいな、という気持ちはすごく大きくなっています。
――今作の撮影が2019年から2020年にかけてなので、それ以降はコロナ禍で思うようにいかない部分もあったのではないでしょうか?
ありました。私は海外でお仕事をしたい気持ちが強かったんですが、2019年以降は海外の作品もいくつか決まっていたんです。けど、コロナ禍でなしになってしまって。一気に自分のプランが崩れてしまったという出来事は、私の中ですごく大きいです。ただ、そういうことがあったからこそ、今まではやってこられなかったことをやれたということもあるので、意味はあったのかなと思っています。今までは時間がないことを言い訳に「いつかやれたらな」というふうに思っていたことも、「今だ!」と挑戦できました。
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