<魔法にかけられて2>天真爛漫なヒロインが意地悪な継母に 変容ぶりも楽しい“15年後の世界”

2022/11/22 11:10 配信

映画 アニメ レビュー

「魔法にかけられて2」キービジュアル(C) 2022 Disney Enterprises, Inc.

地方都市は「その町のしきたり」みたいなものがありがちだし、その土地の有力者を頂点とする縦社会だったりすることもある。モンロービルのヌシは、ずばりマルヴィナ・モンロー(マヤ・ルドルフ)という女性。そもそも地名が“モンローの街”なのだから、ヌシっぷりも相当なものだ。そしてその周りではイエスマンたちが、マルヴィナに「寄らば大樹の陰」的に寄生している。

だがピュアなジゼルは、その辺の淀んだ大人の事情を理解するDNAをそもそも有していない。そこがトラブルの萌芽になるのだが、「人間社会の齟齬には魔法の力よ!」とばかりにジゼルは街をおとぎ話の国に変えてしまう。魔法ならぬ呪いにかけられたジゼルの“意地悪な継母”っぷり、そしてマルヴィナとの“覇権争い”も見応え十分だし、ジゼルがモーガンを部屋に閉じ込めるシーンや井戸へ突き落とす場面もゾクゾクする…と書いてきたところで物語のほんの一部なのだから、ここからも、いかに「魔法にかけられて2」が展開いっぱいの充実作であるかが分かるはずだ。

音楽担当は「美女と野獣」「アラジン」「リトル・マーメイド」などでも知られるミュージカル作曲王、アラン・メンケンが引き続き担当。フランク・チャーチルなど大先輩作曲家への敬愛をこめつつ、コンテンポラリーでメリハリに富んだ音作りで魅了する。「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」で名前が浸透したイディナ・メンゼルが、相変わらず超絶の美声を披露しているのも話題を集めることだろう。

◆文=原田和典