岡咲美保が「転スラ」シリーズを通して感じる自身の声優としての成長

2022/11/26 18:00 配信

アニメ インタビュー

岡咲美保

スライムに転生した主人公の活躍を描いた異世界ファンタジーの金字塔「転生したらスライムだった件(通称:転スラ)」。TVアニメで第1期、第2期と続き、スピンオフ「転スラ日記」も放送された人気シリーズの劇場版が、原作の伏瀬がストーリー原案を担当するオリジナルストーリーとして、2022年11月25日(金)に全国で公開される。公開に先駆け、主人公・リムルを演じる岡咲美保にインタビューを行い、作品に対する思いなどを聞いた。

――「転スラ」が初の映画化を迎えた感想を教えてください

「すごく嬉しかったですし、どこかで期待していた自分もいて"待ってました!"という気持ちでした。オリジナルストーリーということで、映画ができたからこそ見られる物語が生まれたことは嬉しいですし、皆さんがアニメを愛してくださったからこそ私もまたリムルを演じることができるので、スクリーンで見るのがすごく楽しみです」

――共演者同士ではどのような言葉を交わされましたか?

「私が映画化のお話をプロデューサーさんから聞いた時に、ちょうどベニマル役の古川慎さんがいらっしゃって『リムルはすごく話すから大変だね』って他人事のように話されてました(笑)。そんな古川さんにプロデューサーさんが『ベニマルがキーパーソンです』みたいな言い方をされていて、急に古川さんが慌て出す姿がすごく面白かったです。その時は物語の詳細が分からなかったので、お互い『気になりますね』って言葉を交わすに留まったんですけど、まずは嬉しいなという気持ちでいっぱいでした」

――作品を通してリムルの成長をどのように感じていますか?

「盟主としてのリムルは、初めて会うキャラクターに警戒心を持ってはいるんですけど、ヒイロがベニマルの兄貴分なので1歩引いているようなところがあって、リムルの大人な一面が垣間見えましたし、戦闘シーンにおいてもリムルの立ち回り方が変わって、仲間に任せるところは任せるようになったんだなっていうのは変化としてすごく感じました。それでいてトワと2人で話し合う優しい面だったり寄り添うところは、ベニマルたちに見せる頼もしさとは違う温度感があったので、お芝居として挑戦のしがいもありました」

――魔王になったリムルを演じる上でこれまでと変えたところはありますか?

「第1期の第1話に比べるとだいぶどっしりしたかなとは思います(笑)。最初はみんなが平和に楽しく暮らせる国を作りたいというふわふわした感じがありましたが、守りたい仲間ができたことでしっかりした部分があるので、演じる側としてはどこまでやろうかなって考えた部分もあって。でも、戦闘シーンの怖い表情からいきなりスライムに戻ったりもするので、低温過ぎても違いますし、キャラは守りたい。そういう細かい部分でお芝居を試行錯誤することは面白くもあり、成長に繋がるような実感もあります。ただ、クオリティーに対するプレッシャーもあるので、それを乗り越えた時にリムルや転スラにもっと近付けるっていう思いを胸に臨ませていただきました」

――本作でのアフレコは1人だったそうですが、感情を乗せる難しさはありませんでしたか?

「リムルはセリフが多いので最初に録ることが多かったんですけど、今回は後半の方だったので皆さんのお芝居を聞きながら演じることになって、1人でやる不安もあったのですが、耳をすませば共演者の方の『リムル様、リムル様』って崇める声が聞こえてくるような安心感があって、すごくやりやすかったです(笑)。監督からも劇場版に至っては大きくディレクションされることがなく『任せます』と信頼してくださっている嬉しい部分もあって、そんな中で皆さんの正解を聞きながらリムルの道を進む感じだったので、こういうアフレコのやり方もあるんだっていい経験になりました」

――改めて振り返り、転スラが支持された魅力をどのように感じますか?

「私はコミックから入りましたが、リムルが快進撃を続けていくテンポの良さと、敵と話し合えることで増していくストーリーの深み、あとアニメ化してより思ったのはやっぱりキャラクターが個性的でみんな良いんですよね。どこかちょっと強いけれど残念なところがあったり、ちゃんと忠誠心もあって、掘り下げれば掘り下げるほど愛が深まる作品だなって。そういうのはやっぱり魅力に繋がる要素なのかなと思います」

――新人声優でありながらリムルに抜擢された岡咲さんも、声優になって5年が経ちました。これまでを振り返りどのようなことを感じますか?

「良い意味で固定概念みたいなものがなくなりました。最初の頃はアニメのキャラクターは、声が華やかでないといけないとか、リムルは強いキャラクターなので息もすごくパワーがないといけないとか勝手に決めていたんですけど、そういうものは全部間違っていて、現場で生まれるものが正解なんだって思うようになりました。特に転スラでは最初の頃、強さがお芝居に出てしまっていて、逆にピンチになるとリムルは余裕で構えているのに私は焦った声になってしまったり。でも、監督がちゃんと俯瞰して見るようにディレクションをしてくださって、どんなお芝居をするのかを決めるのは私じゃなく監督や周りの方だったりするので、自分の役目はいろいろな要望に寄り添えるように多くの引き出しを用意しておくことなのかなって思うようになって、そこはすごく考え方が変わったところです。自分だけがリムルのキャラクターを作っているんじゃなくて、皆さんで作っているんだなっていうことを学びました」

――ファンの皆さん、読者の方にメッセージをお願いします

「完全オリジナルストーリーですので、転スラを楽しんでいる方も初めての方もすごく楽しめる内容になっていると思います。今回はヒイロが出てくることで、ベニマルがリムルと出会って築いてきた時間の裏側で何が起きていたのかが明らかになりますし、ヒイロとベニマルの掛け合いのシーンは、ベニマルの真っ直ぐな気持ちやヒイロとの絆をすごく感じられると思いますので、ぜひ見ていただきたいなと思います」

撮影・取材・文=永田正雄

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