——それでは、「BLEACH」の中で一番好きなセリフは?
尸魂界(ソウル・ソサエティ)篇で阿散井恋次と戦い、傷ついた彼に「ルキアを護ってくれ」と頼まれて、答えた一護の「ああ」が大好きなんですよね。重要な一言で、言うのはとても大変でしたが、一緒にアフレコしていた恋次役の伊藤健太郎に「最高の『ああ』だったね」と言われました。健太郎とは異様にウマが合って、初めて彼とユニゾンで言ったセリフ「俺の魂だ!」はリハなしの一発本番でピタッと合ったほど。
「千年血戦篇」でも恋次とユニゾンで言うセリフがあるんですけど、一護と恋次のセリフがかぶるところが多いから、別の部屋でアフレコすることになるだろうと思っていました。ところが現場スタッフの「ライブ感が見たいから、同じ部屋でやりとりしてほしい」という粋な計らいにより、一緒に収録することができて。実際にやってみたら会話の呼吸もユニゾンも、ものの見事にビタッと合う。初めて見た人は驚いていたし、昔からいるスタッフには「すっごくうれしかったです!」と言われました。
もう一つ…、「死神代行消失篇」の最終回は一護の「またな」というセリフで終わるんです。そう約束しておいて、「千年血戦篇」の最初のセリフが「さて、と」なんですよね。この腰を上げる感じが、一護らしくていいなと思います。
——では、最後に「千年血戦篇」の注目ポイントを、教えてください!
まず、映像の美しさを体感していただきたい! 10年経ったらここまで技術が革新していたという事実に、僕は驚きました。たった10年ですけど、こんなにも技術が上がったのかと。studioぴえろの技術を総結集し、「かつてない映像美を作り上げるぞ」という気概のもとに制作しています。
そして、その映像美に負けない音。“この音場ではどういう響きになるのか”というところまで細かく計算して、作られています。そこもしっかり、感じてもらいたいですね。
あとはみなさんもご存知でしょうが、物語の素晴らしい構築性。久保先生が作られた物語をアニメ制作陣がどう解釈し、作っていくのか。みなさんが原作を読んで想像していたものを、スタッフの人たちが素晴らしくクリエイティブな考えで表現しているので、注目していただきたいなと。僕自身は、いらんベテラン感が出ないように頑張ります(笑)。
◆取材・文=篠崎美緒
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