耐えきれなかった浩一は身体を捻って浩一の手を振りほどき、やめろよと強い口調で言う。今にも泣きそうな満に浩一はガバっとバックハグして「ごめんな、みっちゃん、俺がこんなんで」と言って抱きしめた。ちくしょうと悔しそうに泣く満に、浩一はごめんを繰り返しキツく抱きすくめるしかなかった。満の辛さも、ちっとも悪くないのに満のことを思ってごめんを繰り返す浩一も見ていて泣けてきてしまう。
その夜、満は熱を出す。満の部屋でベッドに横になり、浩一に加湿器や水など頼み事をする満。浩一が優しく落ち着いた声で「わかった。あとは?」と聞くと、満は「そばにいてくれ」と素直に甘える。
浩一はほほ笑んでおでことおでこを合わせて“おでこコツン”をして「当たり前だろ」というと、そっと満のおでこに口づけ、頭ポンポンをするのだった。
夜の淡い照明に包まれる二人は美しくて尊く、穏やかな時間であればあるほど、この時間が長く続くと思えずに切なさで胸がいっぱいになった。
構成・文/牧島史佳
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