斎藤工、上戸彩との「笑顔のツーショットすら僕は見せたくない」

2017/06/09 18:00 配信

映画 インタビュー

映画「昼顔」で愛し合いながらも二度と会わないと決められた紗和を演じる上戸彩と北野を演じる斎藤工撮影=西村康

――ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」('14年フジ系)の劇場版が、6月10日(土)公開となる。既婚者同士の道ならぬ恋を描き社会現象を巻き起こしたドラマから3年後を舞台に、愛し合いながらも二度と会わないと決められた紗和(上戸彩)と北野(斎藤工)が偶然再会するところから始まる。

上戸:リアルに3年という期間が開いていたので、自然と役に入ることができました。撮影初日が北野先生の講演を聞くシーンだったのですが、ドラマの最後は北野先生の校内アナウンスを聞いてお別れしたようなものだったので、声で終わって声で始まったのが心にグサッときて、終始泣きそうでした。監督とも「ここは泣かない方がいいですよね?」と一つ一つ確認しながら作っていきました

斎藤:ドラマが終わってからの3年間、ずっと作品と役柄に連結していた状態でしたし、台本にも3年という月日が落とし込まれていたので、自然と撮影に臨めました。また、上戸さん演じる紗和の3年前にはなかった表情を見て、経過した時間をどういうふうに過ごしてきたのかということも含めた再会になったと思います

上戸:そうだよね。私もドラマのときには紗和の心情しか考えられなかったのが、3年の間に乃里子さん(伊藤歩)の立場でも台本を読めるようになっていて、台本を読み終わったときには、役に感情移入して泣くというよりも、一つの作品として涙が止まらなかった…

――一度は別れを余儀なくされた2人の再会から始まるストーリーの結末は、紆余曲折あって決まったという。

上戸:紆余曲折あり、今回のストーリーや脚本が出来上がりました。静かな中にも心情は大きく揺れ動いていて、一つ一つの感情を大切にしている感じが「昼顔」らしいなって

斎藤:成瀬巳喜男監督の「浮雲」('55年)を見ているときに、いつの時代も不貞というものは描かれていて、それが芸術作品になっているなと感じて、この作品が「浮雲」のようになればいいなと思ったのですが、まさにそんな感じの作品に仕上がったと思います

上戸:再び不倫に足を踏み入れなさそうな2人だからこそ、「今回のことをどう解決していくんだろう?」ってお客さんに楽しんでもらいたいなって思います

斎藤:ドラマの延長で見に来てくださる方もいると思うんですけどそれを上回る何かを与えられるストーリーだなと思いました

――不倫というテーマで一つの着地点を描き出した今作。作品の性質上、複雑な思いもあったそう。

上戸:この映画を見終わった後に、2人で「宣伝の仕方を考えないといけないね」っていう話になったんです。「お楽しみに!」とか「皆さんに見ていただきたいです」というような普通の宣伝の仕方じゃ駄目だなって

斎藤:「映画になりました。イエイ」みたいな笑顔のツーショットすら僕は見せたくないです。2人の生きざまを見ていただいて、見てくださった方それぞれの感じ方で楽しんでいただけるものになったと思っています。だからこそ、「こういう映画です」と断定するのではなく、ひっそりと見ていただければいいかなと

上戸:そうそう。いろんな感情を抱えて来てくださると思うので、ひっそりと自分の楽しみ方でこの作品をより深く理解していただけたらうれしいです!

profile●うえと・あや='85年9月14日生まれ、東京都出身。O型。多数のドラマ、映画で主演を務めるほか、多くのCMにも出演中●さいとう・たくみ='81年8月22日生まれ、東京都出身。A型。8月19日(土)公開の映画「蠱毒 ミートボールマシン」にも出演する

関連人物