中園ミホ氏が「ザ・トラベルナース」誕生秘話やキャラクターについて明かす『岡田将生さんと中井貴一さんをイメージ』『完全に当て書き』

2022/12/08 18:30 配信

ドラマ インタビュー

「ザ・トラベルナース」最終話より(C)テレビ朝日

中園ミホ氏が取材の中で驚いたこととは?


――今回、女性ではなく男性ナースを描こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

ナースの常識を覆したいという思いと、私自身が男性ナースのことをあまりよく知らなかったことが最初のきっかけかもしれません。今回、取材させていただいて、「逆差別」のようなことがあると知りました。

女性の患者さんは男性ナースに抵抗があるということを聞いて、「ナースというお仕事をするには、『男性』であるということがマイナスになってしまうのか」ということに衝撃を受けました。

逆に女性ナースの間では、男性ナースって大歓迎なんです。女性ではどうにもならない状況がたくさん起きるので、力もある男性ナースがもっと増えてほしいと思っていると取材で伺いました。

だけど、患者さんは抵抗があるんです。女性の患者さんはもちろん男性の患者さんでも、ナース=女性だと思っている所があるので、「何で男のナースが来るの?」と無意識に差別をしてしまっているようです。

取材をしていく中で、私自身、男性ナースがどれだけ役立っているかを知ったので、この作品では、視聴者の方にそれを分かってもらいたいなという思いが大きいです。私も取材をするまでは何も知らなかったので、「ザ・トラベルナース」という作品で男性ナースの必要性が世の中で認識されるきっかけになるといいなと思っています。

――取材の中で、一番驚いたことは何ですか?

体力的にすごく厳しい仕事だということです。きついシフトの中で精いっぱい働いて、どんなに疲れていても、いつも笑顔でいなければいけないし、白衣の天使でいなければいけないんです。ナースは常に「完璧さ」を求められているというリアルな部分にすごく驚きました。

「ザ・トラベルナース」最終話より(C)テレビ朝日


――立場が弱い方の目線に立った作品を書かれている印象があります。そういった題材や人物を見つけるために、常にアンテナを張っているのでしょうか?

アンテナといわれるとちょっと違うかもしれませんが、「ハケンの品格」を書いた時、すごく取材をしたんです。毎週、派遣社員の皆さんとお酒を飲んで話を聞いていました。

取材で出会った派遣社員さんに、「お友だちの派遣さんを連れてきて」と頼み込んで、毎週金曜日の夜に取材をしていました。その頃の友だちや知り合いがたくさんいるんです。

彼女たちが、明日が見えないような状況で仕事をしていたり、大変な思いをしているのを間近で見てきたので、「どうしても彼女たちを元気づけたい」「ドラマを見て元気になってほしいな」と思って出来上がっているのが私のドラマなんです。

いつもドラマを作る時は、そういった誰かの背中をそっと押すような気持ちが前提にあります。なので、朝ドラを書く時も、大河を書く時も、彼女たちはどんな作品を見たら元気になってくれるかなと考えて書いていました。

「ドクターX」もフリーランスでありつつ、めちゃくちゃスキルの高い大門未知子(米倉涼子)が、組織に入って、弱い立場の人を権力で抑え込もうとする「教授たちを黙らせる」くらいのスキルを持っていたら気持ちいいな、そして患者さんを救えたらいいなと思って書いた作品です。