コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回ピックアップするのは、Twitterで5万件以上のいいねを獲得した漫画『ハロウィンの夜の知らないあの子』だ。
作者は漫画『ブラッディ・シュガーは夜わらう』(コアミックス)の作者でもある三堂マツリさん。『ハロウィンの夜の知らないあの子』では、主人公のアレックスと-に仮装した子による、子ども同士の心温まるストーリーが描かれている。今回は三堂マツリさんに同作に込められた想いを聞くことができた。
狼人間に仮装してハロウィンの夜を楽しむアレックス。馴染みのある友達もさまざまな衣装に着飾り、ハロウィンを満喫していた。しかしアレックスは、1人だけ前髪に隠れて顔がわからない子がいることに気づく。
「顔… ちょっと見てもいい?」と髪に触れようとするアレックスだが、「だ、だめ…」とその手を遮られてしまう。正体不明のその子は「あ… あのね… メデューサと目を合わせると石になっちゃうの… だから…」と、顔を見られることを極度に恐れていたのだ。
「ん、分かった」と、それ以上の追求をやめたアレックス。代わりにアレックスを遮っていたメデューサの手をギュッと掴むと、一緒にキャラメルアップルを食べながらハロウィンを過ごすことにしたのだ。
翌日、学校で先日のハロウィンを友達と振り返っていたアレックスだったが、結局、メデューサが誰なのか不明のまま。しかし、後から登校してきた男子生徒を見たときにあることに気がつく…。
アレックスとメデューサの言葉のやり取りが好評だったようで、「メデューサの気持ちを察するアレックスが尊すぎる!」「なんて素敵な会話だろうか」「涙腺崩壊」「目頭ジーン」「涙が止まらない」など絶賛の声が相次いだ。
――「ハロウィンの夜の知らないあの子」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
元々ハロウィンは好きな風習のひとつで、何度かテーマにしていました。中でも「死者の魂に気づかれないように仮装をする」というのは非常に特徴的で、今回は子供たちの仮装、そのコスチュームに秘められたものに焦点を当てようと思い創作しました。
――作品を描くうえでこだわった点や、「特に伝えたい」ポイントがあればお教えください。
やはり子供たち一人一人の衣装でしょうか。メデューサや狼人間の他にも仲の良い兄妹がお揃いの仮装をしていたり、どうしてこの子はこの衣装を選んだのだろう?と自由に考えていただけると嬉しいです。また、メインの舞台が夜となっていますので、ハロウィン独特の雰囲気を出しつつも脚本に沿って柔らかい印象になるよう心掛けました。満月や星明りなど、ぜひ背景も含めお楽しみ下さい。
――「ハロウィンの夜の知らないあの子」の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
アレックスの台詞「行こ!メデューサ!」と「来年も一緒に食べようね!」です。アレックスは相手に必要以上に踏み込もうとせず、ただ自分のペースで受け入れます。それはジャック(メデューサ)にとって少なからず勇気になったり心が軽くなる経験になったのだと思います。そして、この先二人はお互いの価値観を尊重し合える仲になるのだろうとも描いていて感じました。
――とても素敵なメデューサの仮装について、彼にアドバイスした人などはいたのでしょうか?
衣装は彼自身が考え、手伝いは彼の家族がしました。お母さんは引っ込み思案なジャックを思い一緒についていくことを提案しましたが、「ひとりで行ける」との彼の言葉を尊重し庭先まで送り出してくれた…という舞台裏の出来事があります。
――アレックスは最初、メデューサが誰か気づいていませんでした。顔を合わせた瞬間のコマがとても印象的なのですが、アレックスがメデューサの正体に気づいたポイントは何だったのでしょうか?
彼の雰囲気で気づいたのだと思います。普段の落ち着いた服装とハロウィンの夜のゴシックな服装がアレックスには中々結びつかなかったのですが、ジャックが持つ元々の気質と照らし合わせてやっとピンときた感じですね。気づくと同時に「あんな風に笑えるんだ」などといった新しい発見もあり、アレックスも嬉しかったのではないでしょうか。
――今後の展望や目標をお教えください。
これからも自分のペースで描きたいものを描いていければと思います。奇妙なテーマであれ普遍的なテーマであれ、自分が見ている世界を漫画という形にし続けていくのが目標です。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつもお読みくださり本当にありがとうございます。読者の方々に楽しんでいただけるということが筆者にとって何よりの幸せです。また、ご感想や応援のメッセージ、お手紙などもとても励みになっております。これからもより一層精進してまいります。
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