――放送尺を1話5分という超ショートにまとめたというところも、「ZIP!」の朝ドラマのポイントだと思います。なぜ5分だったんでしょう?
上田氏:現代は1時間のドラマをテレビの前に座ってリアルタイムに見るって、なかなか生活者のスピード感で進んでいない気がしていて。朝ドラマとしては過去は7分尺もやってみたんですけど、もう少し短い時間でもいいんじゃないかなと。歯磨きやネクタイ締めてる時間、お化粧をしてる時間、子どもを送り出してテーブルの上の食器片づけてる…といったタイミングで、テレビを見ながら作業して、内容も入ってくる尺っていうのが今後ドラマとしての形としてありえるんじゃないかと考えました。5分だけだから見ようかなって思っていただけるんじゃないかと考えたのが、5分という超ショートな尺です。
――世間的にもTiKToKはまさにショートですが、エンタメコンテンツが短尺化していますよね。そこら辺の影響も意識はあったのでしょうか。
上田氏:そこに合わせたわけではないですが、“スピード感”としてやはり感じますよね。YouTubeやドラマ・映画も倍速で見られる時代です。でも…5分って意外と我慢できる尺なのかな。朝は忙しいけれど、これなら着替えながらでも見られるかな…って、時計がわりになったりするのかなってところはありますけどね。
――朝に5分尺ドラマの新しい放送枠ができた、という見え方もできます。ドラマを作るうえで苦労している部分などありますか?
上田氏:「5分」はメリットもデメリットもあるわけです。5分で話を終わらせなきゃいけないし、5分で次も見たいと思わせなきゃいけない。今回の「クレッシェンドで進め」は1週間で話が完結しますっていうのを意識して脚本を作っています。「泳げ!ニシキゴイ」では、1話1話に「笑い」と「グッとくる」部分を詰め込んで脚本ができていました。ドラマ制作チームが「5分」を意識して作ってくれています。
――同じ5分でも、「クレッシェンドで進め」と「泳げニシキゴイ」では作り方が異なるわけですね。また、ドラマ枠で捉えると、既存の連続ドラマ枠では“カラー”があると思います。“「ZIP!」朝ドラマのカラー”とはどんなものでしょうか?
上田氏:「ZIP!」自体は「一緒にニッポンの朝を。つなごう、みんなのスマイルを。」っていうコンセプトで、少しでも元気になれるような番組を目指しています。安心して見れて元気になれる、気持ち前向きになれるみたいなところを意識したテーマ選びをしています。同じ方向を向いていくために、番組P、ドラマチーム、脚本、演出で会議や議論を重ねて番組の伝えたいコンセプトがずれないように、ドラマ撮影を進めています。中身のテーマは多種多様で良いと思います。錦鯉はお笑いだし、今回は高校生の話だったりしますが、「元気になれる」の一本筋が通っていれば見てもらえるかなと。
――「サヨナラ」も「ニシキゴイ」も「クレッシェンド」も一見テーマはバラバラですが、人の営みや優しい気持ちになれるみたいなのをテーマに作られている印象でした。
上田氏:だと思います。逆にいうと、朝からいじめとかママ友のギスギスした話は見たくないじゃないですか。ドラマとしては刺激的ですが、やっぱり朝それを見て一日過ごすわけなので、読後感として“一歩前向きになれる”を貫いています。
――テーマ選定のところでもう一つお伺いすると、今までは結構バラバラでしたよね。錦鯉の次は誰をドラマ化するんだろう?と思ったら高校生の青春群像劇でした。ストーリーの題材はどのように決めているのでしょうか?
上田氏:ドラマチームの提案の中から選んで「ZIP!」としてはこれがいいと意見して選んでいるのがリアルなところです。実はまだちょっとしたトライアル期間と思っています。現役の漫才師の半生、漫画原作で高校を舞台にしたドラマ…番組として合うのは何かと試している段階ではありますね。
――今はまだあまり決めきらずにいるわけですね。では今後の展開にも注目ですね。
上田氏:もしかしたら…毎年M-1チャンピオンのドラマ化をやってしまう…かもしれませんね(笑)。
――最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
上田氏:「ZIP!」は、ニュース、芸能、スポーツなどいろいろなジャンルで“正しく安心できる情報”を生活者に溶け込んだ形で届ける番組を目指しています。今後もそこは変わらないので、生活者にとって元気になれる、スマイルになれるコンテンツを届けたいと思っています。ちょっと特殊なものですが、朝ドラマもその一つです。ぜひ見ていただき、ファンになってもらえたらうれしいです。
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