目を背けてしまうような“グロテスクさ”と“人間ドラマ”が共存 三池崇史監督の韓国ドラマ「コネクト」

2022/12/14 11:45 配信

ドラマ レビュー

不死身の男・ドンス役のチョン・ヘイン(C)2022 Disney and its related entities

映画「クローズZERO」「殺し屋1」などの監督・三池崇史がメガホンを取り、「愛の不時着」「トッケビ」などで知られるスタジオドラゴンが制作、そして韓国では“国民的年下彼氏”ともいわれるチョン・へインが主演を務める韓国ドラマ「コネクト」。“バイオレンスの巨匠”三池監督が手掛けるSFスリラーということで、生々しくグロテスクな描写が目を引く部分ではあるが、人間ドラマとしても見応えのある作品になっている。

主役は片眼を奪われた不死身の男

「コネクト」は同名のウェブトゥーンが原作。不死身の男・ドンスが、臓器密売組織に奪われた自分の右眼が連続殺人鬼に移植されたことを知り、目玉を取り返すために犯人を追うクライムファンタジースリラー。ディズニープラス「スター」のオリジナル作品で12月7日より全6話一挙独占配信中だ。(以下、ネタバレを含みます)

ドンス(チョン・ヘイン)は、「コネクト」と呼ばれる不死身の身体を持つ人物。傷口はすぐに塞がり、折れてねじ曲がった足も、切れた指も元通りになってしまう。そのせいで周りからは「化け物」と避けられてきたため、世間と交わらずに生きるように…。“孤独なギターマン”という名で自作の歌を動画サイトに上げ、世間とコミュニケーションを取るのが楽しみな、その名の通り孤独な人物だ。

そんな彼がある日、臓器売買集団に拉致されてしまう。闇医者が彼から眼を取り出し、胸をメスで開いたが、医者がひと息入れていた隙に傷口は塞がり、ドンスは起き上がる。そして眼を自身の体に戻すが、右眼を戻そうとしたとき、異変に気づいた敵に追われて、片目のまま逃げることになってしまった。

時期を同じくして、ドンスが動画サイトに上げた曲が評判となり、カバーするミュージシャンが何人も現れ、街で耳にすることが増えてきていた。そんな中、右眼を失くして以来、その曲がきっかけとなり、ドンスの無いはずの右眼に激痛が走り、どこかにあるその眼が見ている光景を共有するようになる。ドンスの眼を移植されたのは、韓国中を震撼させている、死体を彫刻のように加工して大衆の前に展示するようにさらす“死体アート”の連続殺人鬼だった。その正体は、会社員のジンソプ(コ・ギョンピョ)。ドンスは眼を取り返すためにジンソプを追っていく。

“グロテスクさ”と“人間ドラマ”が共存


「コネクト」より(C)2022 Disney and its related entities


バイオレンスな描写が得意な三池監督らしく、体を切り裂いたりペンチで眼を取り出すシーンなどはなかなかのグロテスクさ。また、ドンスの傷が塞がる際に傷口から出てくる、触手を思わせる赤い管も不気味だ。他にも、目を背けたくなるようなシーンも。だが、真の見どころはそういった過激な場面ではなく、「化け物」と避けられてきたドンスの哀しさや、彼を助ける自称“小説家”の少女・イラン(キム・ヘジュン)との心の交流だ。

ドンスは不死身だが痛みは我々と同じように感じる。切られれば激痛で泣き叫ぶし、血も吹き出る。そして心も痛む。不死身であること以外は、ただの普通の青年―それがどこか親近感を抱かせる。

三池監督も「表面的にはハラハラドキドキするスリラーものですが、主人公の“人とは違う”というコンプレックスや個性から来る孤独との戦い、自分の能力を活かし生きていく姿を見せる人間ドラマという側面もあります。自分としてはそういう人間ドラマに重点を置いて撮ったつもりです」と語っている。