ジョージ・ルーカスが原案と総指揮を、米・アカデミー賞受賞監督のロン・ハワードが監督を務めた映画「ウィロー」。1988年に公開された本作の20年後を舞台にして、剣と魔法のファンタジックな新しい冒険が描かれているのが、11月30日から配信されているオリジナルシリーズの「ウィロー」だ。ルーカスといえば、言わずと知れた「スター・ウォーズ」シリーズの生みの親である世界的クリエーター。同シリーズからは、2022年もスピンオフドラマとして「オビ=ワン・ケノービ」や「キャシアン・アンドー」が誕生したが、ルーカスフィルムには「スター・ウォーズ」のみならず、先述の「ウィロー」のようにコアなファンを持つ名作も多い。今回、「スター・ウォーズ」をはじめ「ルーカスフィルム」の名作をいくつか紹介していこうと思う。
“ルーカスフィルム”とは、1971年に映画監督、映画プロデューサー、脚本家であるルーカスが設立した映像製作会社。アメリカ・ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で映画の勉強をしたルーカスは、卒業後、ワーナーのスタジオで研修中にフランシス・フォード・コッポラと出会った。コッポラが設立したアメリカン・ゾエトロープ社の副社長に就任し、初監督作品となる「THX 1138」を製作。その後、1971年にはルーカスフィルムを設立して、1973年に映画「アメリカン・グラフィティ」を公開した。ルーカスは製作・監督を務め、1972年公開の「ゴッド・ファーザー」が大ヒットしたコッポラをプロデューサーに迎え、この作品もヒットを記録している。
ルーカス、そしてルーカスフィルムをより広く知らしめたのが1977年公開の「スター・ウォーズ(エピソード4/新たなる希望)」だった。1980年には「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」、1983年には「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」とオリジナル3部作が全世界で大ヒット。その3部作の時期と重なるようにして「インディ・ジョーンズ」シリーズもスタートした。
「アメリカン・グラフィティ」に出演してルーカスの信頼を勝ち取り、「スター・ウォーズ」シリーズでハン・ソロ役が当たり役になったハリソン・フォードを主演に据え、1981年に「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」を公開すると、1981年の最高興行収入を記録する成功を収めた。1984年の「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」、1989年の「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」も支持され、時を経て2008年にも続編「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」が公開されている。
「ウィロー」は、そういったルーカスフィルムがノリに乗っている時期、1988年に公開された。ネルウィン族の農夫で見習い魔術師のウィロー(ワーウィック・デイヴィス)が、川から流れてきたダイキニ族の赤ん坊(エローラ)を拾ったことをきっかけに、赤ん坊を返すという目的で村を出て旅に出た。行く先々で困難に遭いながらも、マッドマーティガン(バル・キルマー)やソーシャ(ジョアンヌ・ウォーリー)らとの出会いもあり、成長も感じられるファンタジックな冒険譚となった。
1990年代以降、魔法修行中のウィロー、荒くれ者のマッドマーティガン、悪の王女のソーシャの3人のキャラは、「スター・ウォーズ」におけるルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロ、レイア姫に重なるところがある。「スター・ウォーズ」がその後のSF作品に大きな影響を与えたのと同様、「ウィロー」も後のファンタジー作品に影響を与えた作品である。ちなみに、“モーフィング”という革新的な映像技術が最初に使われたのは「ウィロー」だった。
1980年代でもう一つ押さえておきたい作品は1984年の「イウォーク・アドベンチャー」。「スター・ウォーズ」のエピソード5と6の間の時期で、“森の月”と呼ばれる惑星エンドアが舞台となっている。「スター・ウォーズ」シリーズの外伝的作品は多く製作されているが、ルーカスが脚本に携わった初期の外伝もぜひ楽しんでもらいたい。
「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフは実写映画・ドラマに限ったことではなく、アニメ「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」など、幅広いラインアップが製作された。同作はアナキン・スカイウォーカーと弟子のアソーカ・タノを中心に、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」と「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」までに繰り広げられた“クローン戦争”を多角的に描いた作品。2008年にシーズン1が放送され、ファイナルシーズンとなったシーズン7をもって2020年5月に幕を下ろした。序章となる映画版とテレビシリーズ133話という膨大な時間をかけて描かれた物語は、「スター・ウォーズ」シリーズの中でも稀有な存在。たっぷりと時間をかけてクローン戦争を追ってみてはいかがだろうか。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)