小宮璃央“浩一”が居なくなったあとの井上想良“満”の切なさと愛に涙が止まらない<永遠の昨日>

2022/12/14 12:04 配信

ドラマ レビュー

5年後、満はひとりで思い出のキャンプ場を訪れる


驚く満に父親は「母さんの時と同じだった」と話し始める。当時の母親は見えるし、触れるし、会話もできたが、心臓は動いておらず、生ける屍だった。それでも、うれしかった、母さんがそばにいてくれるならという父親。「母さん、すごく優しく笑ってくれた」という満に、父親はお前にも見えてたのかとほほ笑む。

そして、満は「与えられて奪われる悲しみはどうやって癒やせばいい?」と涙ぐむ。浩一が逝ってしまったことを悟った父親は「無理に癒やさなくてもいいんだ」とくしゃくしゃと満の頭を撫で、満は声を詰まらせて泣いた。

あれから5年後、満はひとりで思い出のキャンプ場を訪れていた。前髪を分けて少し大人びた満の姿を見るだけで涙が溢れてくる。

満のもとに同級生たちから連絡が入り、鏡屋は浩一のお墓に行ってきたことを報告する。浩一は事故のあった草むらで発見され、生ける屍の浩一のことは誰も覚えていないのだった。満の家からひとりでこの草むらにやってきた浩一のことを思うと胸が痛いほど締め付けられる。そして、鏡屋でさえ浩一のアディショナルタイムを覚えていないという事実が辛い。

海辺で浩一の写真を見ながら、浩一を偲ぶ満。浩一を失った悲しみが消えることはない満が切ない。「同着一位はダメですか?」と言う浩一が回想され、満は「浩一、残念ながらまだ同着一位は現れていない」と心の中でつぶやく。

そして、「今も一番、愛しているよ」と静かに優しく浩一に向けた言葉を口にしてほほ笑む満。悲しいけれど、浩一との出会いと愛を抱えながら生きている満の横顔に甘く切ない気持ちが胸いっぱいに広がり、とめどなく涙が流れた。

◆構成・文=牧島史佳

関連番組