<LUPIN ZERO>ルパンと次元の知られざる少年時代、オマージュとオリジナリティの良バランス

2022/12/16 22:00 配信

アニメ レビュー

ルパンと次元の出会いが描かれる原作:モンキー・パンチ (C)TMS 

「ルパン三世」の少年時代を描くスピンオフアニメ「LUPIN ZERO」の配信が12月16日よりDMM TVにてスタート。初回は第1話、第2話が同時公開され、ルパンと次元大介が実は中学からの同級生であったという驚きの過去に大きな反響が集まった。(以下、作品のネタバレを含みます)

昭和臭が最高。PART1オマージュが随所に光る


「ルパン三世」は1971年にモンキー・パンチ原作のコミックをテレビアニメ化。今作は原作にあった「少年ルパン」編からヒントを得たというオリジナルストーリーになる。

配信前には楽しみな反面、「ルパン」の世界観が崩されていたら…と不安を持つファンも少なからずいたようだが、蓋を開けてみればアニメの雰囲気は、良い意味でいつもの昭和感溢れるハードボイルドコメディー。オープニング、エンディングのオマージュはもとより、随所に「PART1」を彷彿させる演出が入るのは往年のファンのツボを心得ているというところだ。しかし、だからといって無理に大人のルパンに合わせることはせず、描かれているのは子どもの無邪気さが表れたルパンである。オマージュとオリジナリティーのバランスが素晴らしく、SNSにも「いろんな選択肢から大正解を引いた感じ」「想像以上のPART1主義を貫く演出!」「これこれ、これよ~!!」「思いのほかルパン三世してて満足度高い!」といった好意的なコメントが多数寄せられている。

そんな本作の舞台は高度経済成長期の日本。少年時代ということで、ルパンは13歳の中学一年生になる。「少年は如何にして“ルパン三世”になったのか」というキャッチコピーの通り、このときのルパンは華麗な盗みのテクニックは身に付けていても、世間的にはまだ一介の少年でしかない。ルパンがどう道を見定め、祖父アルセーヌ・ルパンから続く泥棒家業を継いだのかを知る物語になる。

中学生時代のルパン原作:モンキー・パンチ (C)TMS 


ルパンの背中を初めて押すのは次元


ミステリアスだったルパンの過去は興味深いところで、これに対して早速描かれた1つのアンサーが、第1話で自分の進む道に葛藤するルパンに対し、次元が放った発破をかけるセリフだ。祖父は家業を継がせようと盗みの技をルパンに仕込んだ。一方、父は息子が堅気になることを望んでいる。そしてルパン自身は誰にも決められていない真っ白な道を進みたいという気持ちを強く持っていた。思いを叫ぶルパンに、「だったら決めればいいだろ! この戦争は誰にも用意されたもんでもねえ。俺とお前だけで始めた俺たちの戦争だ。ルパン、決めろよ。下がるか、進むか!」と次元の発破が飛ぶ。世紀の大泥棒へと駆け上がるルパンの背中を最初に押したのはこのとき、少年時代の次元だったのだ。

そして、第2話では立場が逆転。ビジネスと言いながら小悪党に雇われる次元に対し、「あんな連中の言いなりでいいのかよ。おめえさんの主は誰が決めるんだい?」と、今度はルパンが発破を掛ける。プライドを強く持つ次元もまた、ルパンに自分の生き方を問われた瞬間だった。

中学生時代の次元大介原作:モンキー・パンチ (C)TMS 

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