「音楽劇『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~」が2023年2月より福岡、大阪、東京の3都市で上演される。かのモーツァルトによる名作オペラ「フィガロの結婚」などの台本作家、ロレンツォ・ダ・ポンテの数奇な人生を描く本作。”自称天才”で女好きのギャンブル好き、生き延びるためにはなりふり構わないダ・ポンテを橋本良亮(A.B.C-Z)が演じ、対する”真の天才”で圧倒的な才能を持つが、常識や社会性が欠如しているモーツァルトを佐藤流司が務める。このたび佐藤にインタビューを行い、本作で演じる人物像や自身との共通点について聞いた。2022年は”悩みの多い年”だったという佐藤が、ここから新たに飛躍していく未来とは。
──2022年は佐藤さんにとってどのような年でしたか?
悩みの多い年でした。いろいろ考えさせられることのある年でしたね。
──どういった場面で、どういった悩みがあったのでしょうか?
「俺の人生、ここからどうなっていくんだろう」とか「今までやってきたことが正解だったのか」とか、一度立ち止まって考えることが多くて。
──立ち止まって考えたのには何かきっかけが?
舞台で怪我をしたことですね。そのときに、もちろん心配してくださる声がたくさん届いたのですが、様々なご意見も頂きまして。それで「俺はどうすべきだったのかな」とか「俺は今、皆さんにはどう映ってるんだろう?」って考えさせられて。一瞬ブレかけたんですけど、ちゃんと自分の意志に戻ってくることができたのでよかったなとは思います。
──“戻ってきた自分の意志”というのはどういうものですか?
ざっくり言うと「媚びない」。今までずっとあまり多くを語らず、作品でお見せするということを心がけてきたのですが、そのときは、裏で俺がどれだけ頑張っているかを発言したら、厳しいことを言う方の見方も変わるのかなと思いかけちゃった自分がいて。「いや、それはダセーな」と思い直すことができたのでよかったですけど。
──逆に言うと、今までは努力しているということを言いたくなる場面はなかったのでしょうか?
いや、あります。ありますけど、言わない美学ってあると思うんですよ。俳優という職業ってエンターテイナーじゃないですか。だから「この人は自分と違う次元にいる」と思えたほうが面白いと、俺がお客さんだったら思うと思うんです。まぁ、あとは努力するのって当然だと思うんで。
──そのようなスタンスでやってきた佐藤さんが、今年は一度立ち止まって悩んだということですが、今回立ち止まったことは、今後のご自身に影響を与えそうですか?
うーん……今後やるべき仕事が少し変わったのかなと思いますね。
──というのは?
今までとは違うことにいろいろと挑む時期に来たんだなと思います。これまでやってきたことを続けるだけではなく、少し離れる必要があるかなって。完全にゼロにするわけでもないし、やめるわけでもないですが。2.5次元の舞台って、もちろんお芝居を見てくれている方もいますけど、基本的に“どれだけ再現できているか”が評価の基準になってしまうんですよね。別にそのことを否定するつもりはないですよ。2.5次元作品ってそういうものだと思いますし。ただ、そういう評価のされ方をする場所に自分がこの先どのくらいいるのだろうかと、立ち止まって考えてしまいました。
──そういった中で、俳優としてのご自身の武器はどういうものになっていくと考えていますか?
人が思いつかないような芝居ができること。昔からずっと「台本を読んで最初に思いついた芝居はするな」と言われてきたこともあって、今回のモーツァルトみたいなトリッキーな役ができるのは、俺の強みかなと思いますね。
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