【テレビの開拓者たち / 佐久間宣行】「ゴッドタン」佐久間Pが仕事をエンジョイできる理由

2017/06/21 06:00 配信

バラエティー インタビュー

二度にわたって映画化もされた「キス我慢選手権」、数々のライブイベントを行い今年3月には東京・日本武道館でのライブを実現させた「芸人マジ歌選手権」といったヒット企画を数多く擁する深夜のお笑い番組「ゴッドタン」を筆頭に、子供向けバラエティー「ピラメキーノ」('09~'15年)、シチュエーションコメディー「ウレロ☆」シリーズ('11年ほか)、そして千鳥の冠番組「NEO決戦バラエティ キングちゃん」など、個性あふれる番組を次々と世に送り出している佐久間宣行プロデューサー。近年好調のテレビ東京の立役者の一人でもある佐久間Pに、これまで携わった番組について、また、お笑いやテレビ界への思いの丈を語ってもらった。

「ナミダメ」では、「感動をありがとう」という風潮を逆手に取りました


さくま・のぶゆき=1975年生まれ、福島県出身


──佐久間さんがテレビ東京に入社されて、最初に携わった番組は?

「一番初めは、アイドルが主演する一話完結のオムニバス形式の『国産ひな娘』('99年)という深夜ドラマのADですね。当時付いていたADが急に辞めてしまって、僕はドラマ志望ではなかったんですけど、『体がデカくて体力がありそう』という理由で声が掛かったんです(笑)」

──プロデューサー、演出家としてのデビュー作は「ナミダメ」('01~'01年)。入社3年目で番組のプロデュースを手掛けられたわけですね。

「運良く企画が通ったんですよ。当時は『感動をありがとう』みたいな番組が多くて、『“ありがとう”って何なんだよ』と思っていたので(笑)、その風潮を逆手に取って、泣くことをバラエティー化しようとしたのが、『ナミダメ』のそもそものきっかけです。

その中で好評だったのが、『ナミダメバトルロワイヤル』という企画で。タレントの女の子が思い思いの泣けるグッズを持ってきて、みんなで合宿するんです。で、毎日涙をスポイトで採取して、涙の量が少ない子から順番に帰されて…最後に残った人に100万円をあげるっていう内容だったんですけど」

──壮絶だった記憶があります(笑)。スタジオのメインMCは伊集院光さんで、オダギリ ジョーさん、オセロのお2人も出演されていましたね。

「僕は昔から伊集院さんの深夜ラジオのファンで、自分で番組を手掛けるときは伊集院さんに司会をお願いしたいなって、ずっと思ってたんです。それと、他の番組とはかぶらないキャスティングっていうのも意識しましたね」

──「ナミダメ」以降、印象に残っているお仕事は?

「『ナミダメ』は半年で終わっちゃったんですが、そのころに『TVチャンピオン』('92~'06年)のADもやっていて、ここでも割と早めの段階でディレクターを担当させてもらえるようになったんですね。そこで、自分で一からオリジナルの企画を立ち上げることもできて。当たった企画もあるし、大外ししたものもあります。当たったのは、例えば『3分料理人選手権』。3分間でカツ丼なんかを作る料理企画なんですけど、いわゆる時短テクニックみたいな情報も盛り込んだりして、けっこう好評だったんです。シリーズ化が決まったときはうれしかったですね。大外ししたのは、『ママチャリ王選手権』かな。競輪の選手からBMXの選手、新聞配達員まで、自転車に乗るのを生業にしている方たちを集めて、同じ型のママチャリでレースするっていう企画で、僕としてはすごく面白かったんですけど、『3分料理人』の3分の1くらいの数字(視聴率)でした(笑)。今にして思えば、ゴールデンタイムに向いているものと向いてないものの差なのかなと。でも『TVチャンピオン』は、自分の企画で70分くらいの長尺のロケVTRを作らせてもらえるので、すごく楽しかったです」