――「ダウンタウンDX」で、特に思い入れの強い企画はありますか?
「『芸能人イメージレース』ですね。例えば『本気で悩みを相談するなら誰?』というテーマで、スタジオゲストを含む何人かをエントリーして、街のみなさんにアンケートを取って、誰が一番になるかを予想する。オッズを松本さんがつけて、まさに競馬のレースみたいに持ち点をベットするんです。そこで、街の人がアンケートに答えているところの見せ方として、それぞれの芸能人を出走馬に見立てて、票が入るごとにゴールに近づいていくっていう画をCGで作って。テレビ番組でそういうCGを使ったのは先駆けだったと思います」
――序盤に票が入らなかった方が、後半にすごい追い上げを見せたり、といった展開が熱かったです(笑)。
「『ダウンタウンDX』では、いろんな企画を試しましたけど、結局追い詰められてギリギリに飛び出した冒険的な思い付きがヒット企画につながるケースが多かったんですよ。そこはテレビの不思議なところだなと(笑)。
今は名物企画のひとつとなった『芸能人スターの私服』も、実を言うと、ひょんな思い付きからなんです。最初にアイデアを提案したときは、会議に出席してるスタッフ全員にポカーンとされるわ、ダウンタウンにはあきれられるわ、さんざんな反応で(笑)。ところが、いざ放送してみたら、大きな反響をいただいたんです。他にも、『視聴者は見た!』(街中での芸能人の目撃情報を視聴者から募る人気企画)なんか、今でも続くコーナーになるなんて思ってもみませんでした」
――そういったヒット企画を発想する秘訣はどこから?
「いやいや、ヒット企画なんてすぐには出てこないですよ。今まで誰もやっていないような企画がポンポン思いついたらいいんですけどね(笑)。さっきも言った通り、追い込まれて追い込まれて、その末にやっと出てくる、というのが実際のところで。そのあたりの感覚は、立ち上げからADとして参加した『EXテレビ』で培われたような気がします。
『EXテレビ』というのは、一世を風靡した『11PM』('65~'90年日本テレビ系)の後継番組で、始まるときに、企画会議に出てる全員が『斬新たな企画で挑戦を!』と、関西発信で力入りまくりでした。そのなかで、『視聴率』というテーマが出てきて。ただ、テーマは決まったものの、番組のオチになる企画案が全く出てこない(笑)。当時、僕は駆け出しのADですから、コピー取りとかお茶くみくらいしかできることがなかったんですけど、会議がとうとう行き詰まったなっていうときに、机の上に散らばってる視聴率表が偶然目に入ってきて。よく見たら、『EXテレビ』が放送されてる時間、NHK教育テレビ(現・NHK Eテレ)は視聴率がゼロになってるんですよ。そこで、『視聴者に呼び掛けて、NHKの教育テレビに1分間だけチャンネルを合わせてもらったらどうですか?』って、思い付いたことをポソッと言ってみたんです」
――今でも語り種になっている伝説の“視聴率に挑戦”企画ですね!
「言った瞬間に、先輩のスタッフが全員『それや!』って飛びついて、すぐに実現しちゃいました(笑)。生放送の中で『視聴率調査機のある2600世帯のみなさん、今から1分間だけNHK教育テレビにチャンネルを変えてください』と呼びかけて、結果、0%だった視聴率がその時間だけ数%跳ね上がったんですよ。これがものすごい評判になって、自分の中でも、テレビのあり方をも問う型破りなことができたなという手応えもありました」
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