コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、娘の幼少期ならではの仕草や言動を父親の視点から描き記した漫画『なつかしいもの。』をピックアップ。
作者であるひとりさんが12月12日にこの作品をTwitterに投稿したところ、子育て経験者をはじめ様々な年代の読者から「泣ける」との声が相次ぎ、1.9万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、ひとりさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
作者であるひとりさんは、妻と娘の“ぽんすけ”との3人家族。今では小学生に成長したぽんすけも、生まれたての頃はだっこしたときにミルクのにおいがしていたこと。まだ地面を踏んだことのないあんよはとても柔らかかったこと。そんなぽんすけを初めて抱いたじーじは、とても嬉しそうな顔をしたこと。オムツで大きくなったおしりや、何かと中身を取り出す赤ちゃんならではの行動も思い出す。初めて“立っち”できた瞬間のドヤ顔に、下手なピースや、暖かいとすぐに赤くなるほっぺ。何気ない仕草すべてが愛おしくて、なつかしい。日々成長するぽんすけが初めてランドセルを背負った日も、今ではキラキラした思い出になっていた。
そして現在のシーンに戻ると、カフェでイラストを描くひとりさんの隣で、読書をしながら何気なく過ごしている妻と娘。ラストでは、そんな二人の姿を見ながら、この時間もきっとすぐ「なつかしいあの頃」に変わる日がくる…と、“昔”と“今”それぞれに思いを馳せるひとりさんが描かれている。
娘の成長過程にあった、幼少期ならではの仕草や言動を“なつかしい”という視点から描いた心温まる本作。Twitter上では「号泣」「グッときました」「懐かしいなぁ」「心温まる素敵な絵」「親の気持ち、おじいちゃんおばあちゃんの気持ち考えたら涙溢れてきました」「暖かいとすぐほっぺが真っ赤になるの抱きしめたくなるくらい愛おしい」などとコメントが寄せられ、また育児中の読者からは「当てはまりすぎて泣いた」「わかる」「いままでもこれから先も尊すぎる」「日々大事に過ごしたい」など、共感の声とともに話題を集めている。
――『なつかしいもの。』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
Twitterで何かしら絵の更新を毎日したいなと思っていて、たまたまスマホの写真を眺めていたら娘の小さい頃の写真がすごくなつかしく感じました。これなら毎日更新できそうと思ったのが始まりです。
今年5月の一か月くらい続けて、そのあと途切れていたのですが、最近その絵を見返したら、時系列で並べるとストーリーになりそうだなと思い、何枚かページを足してTwitterに投稿したのが12月のことでした。1枚ずつ投稿していたときはそんなに閲覧数とかも伸びなかったので、今回ひとつなぎで上げてこんなに多くの方に見てもらえるなんて思っていませんでした。
――ひとりさんが、娘である“ぽんすけ”ちゃんの成長や日々の出来事を漫画で残そうと思ったきっかけはどんなことだったのでしょうか?
育児マンガの投稿を始めたのは娘が5歳になる頃でした。幼い頃は本当に日々の面白エピソードがたくさんあったんですが、どんどん忘れて行ってしまうなーとも思っていました。日常の小さなエピソードをできるだけ覚えていたいなと思って、4コママンガにし始めました。
――『なつかしいもの。』では、育児経験者をはじめ多くの方からの共感のコメントが寄せられています。「泣ける」との声も多く見られますが、今回の反響についてひとりさんの率直な感想をお聞かせください。
たくさんの声をいただけてすごく嬉しかったです。いろいろな年代の方に見ていただけたようで、子育てがひと段落ついた方、妊娠中やまだ赤ちゃんのお子さんをお持ちの方、どちらの方からのコメントも、子育ての思い出や未来に思いを馳せるきっかけになれたのかもと思い、とてもうれしかったです。
ぼく自身、「赤ちゃんの足の裏は信じられないほど柔らかい」というのを、妻の親戚の方から聞いていて、それで娘の足の裏のことも覚えていました。でも前情報がなかったら通りすぎていたかもしれない。みんなで思い出をシェアすることで、子どもを愛おしむポイントをより多く見つけていけるのかもなーと思いました。
あと、2000以上リツイートされたにもかかわらずクソリプ的なものがひとつもありませんでした!今回の投稿を見てくれたのは子育てに関わる方が多かったのですが、皆さまのマナーや優しさに感謝しています。
――本作の中で、ひとりさんが特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
幼いときのことは、やっぱりすごく懐かしく感じます。「なにかと中身を取り出す」という絵を描いたのですが、子どもって中身を取り出すのが本当に好きなんだなって子育てして思いました。ぼくはよくパスケースやお財布の中身を取り出されていました。
――作画について、ぽんすけちゃんから「まつげをもっと長くバサバサに描いて」と微笑ましいクレームがあったことを過去作にて明かしていますが、ひとりさんにとって作画をする際に気をつけていることや、日々の出来事を漫画にする際に特に意識していることはありますか?
マンガにするときには、出来事の感情を上手く伝えたいと思っていて、そのためにリアルに描くところとあえて省いてシンプルにするところを考えながら描いています。
4コマというフォーマットに収めるために前後のシーンをカットしたり。妻と娘を描くときには、僕にとってのかわいさを絵に再現できたらいいなーと思って描いてます(笑)。ぼくは実際鏡を見ると絵よりもオッサンです(笑)。(でも娘は、「お父さんの描くお父さんはそっくりすぎだね」と言ってくれました)
―― 最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
フ、ファンとかじゃないと思うのですが…!!(汗) 今回の投稿で、アカウントをフォローしてくれる方が増えました。ありがとうございます。ただ、もともと、投稿のペースはゆっくりなほうなので、これからもマイペースに家族の時間を大切に制作に取り組んでいきます。
自分は共感性や内省の志向がつよいほうで、社会生活では自分の性格に不便さを感じることもあるのですが、今回多くの方にマンガに共感していただけたことで、自分の性格を前向きに使えたのかなという気もしていて、見ていただいた方にすごく感謝しています。どうもありがとうございます!!
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