【漫画】引き込まれる…化け狐と借金取りのコンビが“タヌキ退治”に奮闘する漫画に反響「いいコンビ」

2023/01/12 18:30 配信

芸能一般 インタビュー

信頼度"ゼロ"の借金取りと化け狐が徐々に信頼関係を築き上げる姿が「尊い」と話題画像提供:深津さん

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、2020年にガンガンゴールデンルーキー杯 (スクエア・エニックス)で特別奨励賞を受賞した「化け狐の子」が母親を殺した相手に仇討ちするために借金取りとタッグを組む漫画『狐の杞憂と取り立て狸』をピックアップ。

作者のふかづめさんが12月17日にTwitterに投稿したところ、5.8万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、ふかづめさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

借金取りは母を殺した敵か味方か。化け狐が母の仇討ちのために奮闘する姿を描いた本作

『狐の杞憂と取り立て狸 』より画像提供:深津さん

ある日、借金取り・田吹は前任者から引き継いだ取り立てへとアパートの一室へ向かった。すると、ドアの外からはかすかな"死臭"がする。鍵の開いたドアを開け、中へ入ると、一体の狐の死体が転がっていた。

状況を把握できずにいると、後ろから人間に化けた子狐に、母親を殺した張本人と疑われ襲われてしまう。債務回収ができないまま、子狐とともに事務所に戻り話を聞くと、子狐は「卑怯でずる賢い化け狸に母親を殺された」と打ち明ける。昔から狐と狸は敵対関係にあり、狸の大親分に田吹が似ていると言うのだ。

このまま子狐を放っておくこともできず、田吹が面倒をみることになった。まだまだ債務回収のノルマが残っている田吹は、子狐の"化ける能力"を債務回収に生かすことを企て…。

母親の仇討ちと厄介な債権者への取り立て、目的は違えど「タヌキ退治」のためにタッグを組むことになった子狐と借金取りとの奮闘を描いた本作。母親を失った子狐からにじみ出る喪失感や怒りなどの感情表現が繊細に描かれた作画や衝撃のラスト展開も話題となり、Twitter上では「いいコンビ」「2人とも幸せになってくれ」「引き込まれる」「続編希望」など、多くのコメントが寄せられ反響を呼んでいる。

「キャラ同士の掛け合いでそれぞれの性格や関係性を割り出せるように」作者・ふかづめさんが語る創作の裏側

『狐の杞憂と取り立て狸 』より画像提供:深津さん

――『狐の杞憂と取り立て狸』はどのようにして生まれたのでしょうか?創作したきっかけや理由があればお教えください。

狸という生き物が昔から好きなのですが、彼らは人を化かしたり死んだふりが得意だったり、いかにも悪!といった側面を持ちながら縁起のいいものとされる側面もあり、そういう他人に付与された先入観のあるキャラが振り回されるのは面白いなと思ったのがきっかけでした。

――2020年にガンガンゴールデンルーキー杯 (スクエア・エニックス)で特別奨励賞を受賞した本作ですが、Twitterに公開後5.8万を超える「いいね」が寄せられさらに話題を集めました。今回の反響について率直な感想をお聞かせください。

正直、あまり内容もビジュアルも今時っぽさがない上に56pと長尺のため、ここまで反響頂けるなんて全然思っておらずびっくりしております…。生まれて初めて描き切った長編読み切りだったので、これだけたくさんの方に読んでいただけてとても嬉しかったです。

――本作で、主人公を人間ではなく「人間に化けた狐」にし、仇を打つ対象を「狸」にした理由があればお教えください。

「狸」対「狐」というわかりやすい敵対関係性で設定を入りやすくしたかったのと、借金の取り立てというシビアな場所での活動において、ある種肉体的にも精神的にも人間離れした強さがあり、それに説得力のあるキャラである必要があったので、化け狐という特殊な立ち位置のキャラにしました。

――本作では、母親を失った「子狐」が持つ喪失感や怒りなどをリアルに表現しているのが印象的です。ふかづめさんが作画する際にこだわった点や、本作に限らず物語を創作する際に意識している点があればお教えください。

いつもキャラクターの表情を描くのが好きで、特に目元と口元を書き込みがちになります。喜怒哀楽の中でも怒と哀は特にその部分が強く歪むことが多いので描いていて楽しく、そういったところが読んでいる方にとっても目に留めて頂きやすいのかなと感じます。

作画以外にも、元々コントや漫才が好きだったこともあり、キャラクター達のセリフである文章部分を作るのがとても楽しいです。ちょっとしたキャラ同士の掛け合いでそれぞれの性格や関係性を割り出せるようにすることで、物語からキャラクターを少しでも浮き上がらせるように意識しています。

――本作の中で、ふかづめさんが特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由とともにお教えください。

終盤の2人が、それぞれ「俺・ボクがいないとダメだねえ・ですねえ」とお互いが同じ言葉でお互いをからかうセリフが、ここまで進んでようやく2人が信頼し合う関係性になったことを示すセリフでもあるので、個人的にここまで描いてきたという達成感的な意味でも思い入れのあるものとなっています。

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

ひたすら趣味を詰め込んだような創作をずっとしてきておりますが、いつもあたたかく見守っていただきありがとうございます。これからも楽しく創作を続けていきたいと思っておりますので、皆さまにも楽しんでいただけますと幸いです。