ジョージ・ルーカスが原案と総指揮を、米アカデミー賞受賞監督のロン・ハワードが監督を務めた1988年公開の映画「ウィロー」。当時の最先端技術を駆使して描いた剣と魔法のファンタジックな世界観は、後のファンタジー作品に影響を与えるものとなった。その“続編”がオリジナルシリーズ「ウィロー」として配信中。12月28日には第6話の配信も始まり、物語が終盤戦に突入したということで、前半戦(第5話)までの物語の展開を振り返ってみたいと思う。(以下、ネタバレを含みます)
映画版の「ウィロー」は、魔術によって世界を手中に治めようとしていた邪悪な女王バブモーダ(ジーン・マーシュ)が、魔女フィン・ラゼル(パトリシア・ヘイズ)の「“しるし”を持つ子どもが生まれ、バブモーダを滅ぼす」という予言を危惧し、みごもった女性たちを監視下に置いた。腕に“しるし”のある赤ん坊が生まれるが、助産師が赤ん坊を抱えて城から逃げ出し、その赤ん坊を川に流して逃すことに成功した。自らの命を犠牲にして。
その赤ん坊が救世主となる“エローラ・ダナン”だが、川から流れてきたその子を拾ったのがネルフィン族の魔法使い見習い・ウィロー(ワーウィック・デイヴィス)だった。エローラを人間の元に帰すために村を出て、マッドマーティガン(バル・キルマー)と出会ったり、妖精のブラウニー族に囚われたりしながらも、フィン・ラゼルから魔法を習って、バブモーダの娘・ソーシャ(ジョアンヌ・ウォーリー)も味方につけて、バブモーダをやっつけることに成功した。
ディズニープラスで配信されているオリジナルシリーズ「ウィロー」は、その20年後の物語。ウィローと一緒に戦ったソーシャはティル・アスリーン王国の女王となっており、ちょっとヤンチャな感じの王女・キット(ルビー・クルス)、社交性があり女性にも人気の兄・エリク(デンプシー・ブリク)という双子の子どもがいる。キットをガラドーン王国の王子・グレイドン(トニー・レヴォロリ)と政略結婚させようとするが、その宴が行われた夜に、闇の者によってエリクがさらわれてしまう。
キットはエリクを連れ戻すため、バリアが貼られた安全な村を出ることを決意。そこに同行することになったのがキットの幼なじみ的な存在のジェイド(エリン・ケリーマン)、囚人だがバリアの外のことを知っているボーマン(アマール・チャーダ・パテル)、キットの婚約者のグレイドン、さらにはエリクと恋仲になったキッチンメイドのダヴ(エリー・バンバー)という、見事に個性がバラバラな面子が集まり、そこにウィローと親友のサイラス(グラハム・ヒューズ)も加わった。
旅が始まった途端に、キットとダヴが険悪な雰囲気になったり、いきなり敵が襲来したり、前途多難な旅だということは、バリアを超えた瞬間からひしひしと伝わってきていた。それと同時に序盤で大きな事実が明らかになった。それはダヴこそが救世主エローラだということ。本人も知らされておらず、戸惑っていたが、料理は上手だけど旅には足手まといだった存在から一気に最重要人物へとポジションが変わった瞬間だった。
映画ではウィローがフィン・ラゼルから魔法を教わったが、今回はウィローがエローラに魔法を教える側となった。ここで映画版にも登場した魔法の杖、“シャーリンドリアの杖”が登場する。こういった映画版とリンクする部分が多いのも、見ていて楽しい部分となっている。
芽吹きの呪文で魔法の練習をするエローラだが、初めからそううまくはいかないもの。何度やってもうまくいかず、キットたちはあきれ気味になってしまい、エローラも自信喪失。それでも一人で呪文を唱え続け、草木を芽生えさせることに成功した…のだが、その成功したのを確認する間もなく、黒魔術によって闇堕ちした騎士のバランタイン(ラルフ・アイネソン)に連れ去られてしまうという事件が発生した。
エリクを連れ戻しに行く旅なのに、救世主エローラまでさらわれてしまい、ますます混沌とした展開に。エローラを連れ去ったバランタインは、ジェイドにとって師匠的存在。「スター・ウォーズ」シリーズもそうだが、こういった師弟対決や肉親に近い者との対決が大きく展開するシーンに現れる。闇堕ちしたとはいえ、師に剣を向けるジェイドの気持ちを考えると、切ない気持ちになってしまう。このエローラを救い出す戦いの中で、ウィローは親友のサイラスを亡くすが、2人の友情の絆を感じる最期の会話は涙なしでは見られない。
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