序盤では目的のためなら手段を選ばない野心家の顔を見せる天海だが、その奥に秘められた、日本を救いたい、大切な人を守りたいという切実な思いが次第にあらわになっていく。そして、「関東沈没が1年以内に始まる」と訴える田所博士(香川照之)に共鳴し、思惑が絡み合う政治の世界でリーダーシップを取ろうと歯を食いしばる。最終回のラストシーン直前まで孤独なダークヒーローであった義時に対し、天海は視聴者が思いを重ね、応援できるキャラクターとして、サブタイトルにもある“希望”の火を灯し続ける。
くしくも現実にコロナ禍という未曽有の危機が世界を襲う中で、“緊急事態に体を張って国を守る官僚”という役柄を演じるむずかしさは計り知れない。それは、ドラマスタート時の「ただでさえ苦しい環境の中、この題材は非常に難しいお話ですが、その中でも“希望”と“人間の強さ”を届けられるよう、自分を含め、キャスト・スタッフ全力で希望を持って真摯に作品に向かっていきます」という小栗のコメントにもにじんでいる。
そして、小栗は“国民的俳優”の胆力でこの作品をきっちりと2021年を代表する作品に仕上げ、日曜劇場として10年ぶりの2時間超えで編成された最終回は、期待に応えて自己最高の16.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークした。
今後さらに日本のドラマ・映画界で大きな役割を担っていくことになるであろう小栗。その彼が30代最後の年に挑んだ日曜劇場「日本沈没-希望のひと-」、そして翌年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、彼の足跡をたどる上で、欠かせない作品となった。
なお、ディズニープラス「スター」では「日本沈没―希望のひと―」のほか、「恋はつづくよどこまでも」や「プロミス・シンデレラ」「妻、小学生になる。」も配信スタート。また、ディズニープラスオリジナル作品として柳楽優弥主演のヴィレッジサイコスリラー「ガンニバル」や、阿部寛主演「すべて忘れてしまうから」、葉山奨之&伊原六花&主演の「シコふんじゃった!」も配信中だ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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