“恋つづ”は名場面をたくさん生んだ。前半のおすすめは、第3話で天堂が七瀬の心優しい面を知って瞳を潤ませるというシーン。天堂は同僚たちに“魔王”と呼ばれるほど仕事に厳しく、ドジな七瀬に「バカ」を連発、一切のミスを許さないといったキャラクターだが、それは天堂の同期で恋人だった女性を拡張性心筋症で亡くしていたことが理由だと明かされる。
その過去を知り、七瀬はショックを受ける。歓送迎会で酔っぱらった七瀬は、天堂と公園で一休みして「私が笑わせます、先生を」と見つめてほほ笑んだ。天堂の幸せを祈り、ニコニコしながら酔っぱらってしゃべり続ける七瀬を見て、天堂は初めて心を開く。瞳をウルウルさせて、自分の肩で眠ってしまった七瀬に「寝んなよ」と優しくつぶやく天堂であった。
このあたりから2人の距離は急速に縮まり、「バカ」の言い方も含まれた意味も、愛の深さを感じるような関係性へと変わっていく。第9話で、ある交通事故に遭遇し、3日間目を覚まさなくなった七瀬に「いつまで寝てんだ、バカ」とつぶやく様子には、多くの視聴者がもらい泣きしてしまっただろう。
恋のほっこりした要素と、七瀬と天堂の愛が深まっていく軌跡をバランスよく描いた“恋つづ”。佐藤健の底知れぬ魅力が存分に感じられる作品である。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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