西島秀俊“架川”が台本以上にポップでチャーミングな存在に 服部宣之P「想像以上にぶっ壊れちゃいました(笑)」<警視庁アウトサイダー>

2023/01/19 05:00 配信

ドラマ インタビュー

「警視庁アウトサイダー」第3話より(C)テレビ朝日

こだわり光る、ダブルのスーツやハイテクスニーカー


――制作する上で意識していることがあれば教えてください。

加藤先生とは二作目になるので、非常にコミュニケーションが取りやすい関係です。細かいディティールを気にされる方なので、その辺りの描き方は綿密な打ち合わせをさせていただいて、脚本を作り出してからは、ドラマとしての世界観ということで、文字から離れ、生身の人間が演じることでの変更や融通を聞き入れてくださっています。

他にも、例えば、架川のダブルのスーツや、直央のハイテクスニーカーだったりは、キャラクターのイメージとすり合わせて事前に打ち合わせをしました。加藤先生が作り上げたキャラクター由来のキーアイテムが多々登場しています。

――これまでの刑事ドラマとの相違点や魅力はどういったところですか?

まず第一に、加藤先生が描くキャラクターが非常に面白く個性的な人物たちなので、それが十分に生きるドラマにしたいと思っています。その上で、特にテレビ朝日は数多くの刑事ドラマを手掛けていますし、僕自身も何作か手掛けているので、他との差別化を図る意味でも、普段よりはちょっとポップな世界観にしたほうがいいだろうなと考えました。

テレビ朝日の持っている刑事ドラマの概念を壊すくらいのものにしたいと思っていましたが、想像以上にぶっ壊れちゃいました(笑)。ここまでとは思っていなかったので、そのことに悩んだ時期もありましたが、今は逆にそれこそが魅力だと思っています。

物語後半に進むと、三人のバックボーンに関わる話が次々と出てきてシリアスになっていくので、そのシリアスさとコミカルさの振れ幅をお楽しみいただけると、いつもの刑事ドラマとは違った感覚で見ていただけるのではないかと思っています。だからこそ、ご意見はたくさんあると思うのですが、それも新たな声援として受け止め、制作しています。

「間違ったら、ごめんなさいだろ」


――作品を通して一番伝えたいメッセージを教えてください。

今の世の中、いろいろなことを黒か白かできっぱり決めたがる風潮がありますよね。それは正しくもあるのですが、本来僕たちの人としての営みは、黒とか白とかを行ったり来たりしていて、ドラマの中で架川も言っていますが、「間違ったら、ごめんなさいだろ」が正しいと思うんです。僕らは大なり小なり間違いを犯してしまうし…。

でも、今は一度黒と決まったらその対象に何を言ってもいいというような風潮で、立ち直るきっかけもなかったりとか、逆に白と認定されると少しの黒でさえも大げさに取り沙汰されたりとか。そういうのってやっぱりおかしいのではないかと思っていて。

そんな中で、黒でもないし白でもない、マーブル状態に交わっているような主人公たちが、自分たちの正義を見つけていくという話をどうしてもやりたいと思ったんです。そこが一番大きなテーマです。

光輔は偽の刑事なのでその時点で法には触れてしまっているのですが、彼には彼の正義があります。これはきっとフィクションのドラマだからこそお伝えできることだとは思いますが、登場人物たちが魅力的に見えることによって、もう一度、視聴者の方にそれぞれの正義や自分の中のルールを考えていただくきっかけになればいいなと思います。

――最後に、ドラマの見どころと視聴者へのメッセージをお願いします。

物語が後半戦になるにつれて、三人の過去と周囲の過去が複雑に絡み合っていき、彼らが大きな真相に近づいていきます。最初ものすごくポップな刑事ドラマだと思われた方も、実は最後にはすごくヒューマンでシリアスな展開になっていくので、ご期待いただければと思います。

逆にコミカルな部分を楽しんでいただいている方には、シリアスの割合が増えるほど、キャラクターの面白さや監督陣が仕込んだ小ネタの数々など、コミカルな要素がより際立つと思うので、両面を楽しんでいただけるはずです。

いま最終回の脚本を作っていますが、こんなにコミカルでポップなのに、実は最後少し泣けるんです。ちょっといい話で、僕はそこもすごく好きです。

原作はまだ続いているので、ドラマでは原作とは違うエンディングを迎えますが、原作との違いも含めてお楽しみいただけるとうれしいです。