フルCGアニメーション映画「バイオハザード:ヴェンデッタ」のヒットを記念し、辻本貴則監督(※辻は一点しんにょう) と押井守によるスペシャル・トークショーが6月13日に東京・新宿ピカデリーで行われた。
本作は、シリーズ累計販売本数7700万本を超えるサバイバルホラーゲーム「バイオハザード」シリーズの世界観を基に描かれる作品。ゲームシリーズでもおなじみのキャラクター・クリスとレオンが、バイオテロをもくろむ国際指名手配犯に立ち向かう。
押井は「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」「イノセンス」など数々の名作を手掛けており、さらに辻本が商業映画デビューするきっかけを作った人物。トークショーが作品の上映終了後に行われたことも手伝い、師弟関係にある2人の口からはネタバレありで軽妙なトークが展開された。
まず辻本が「この作品のオファーを頂いて、すぐに押井さんに相談をしたんです。ギャラのこととか(笑)」と告白。押井は「ギャラの交渉は出来るんだろうな?」と当時の辻本にアドバイスしたことを語るも、辻本は「結果、出来なかった。言われた額で『うん』と言いました(笑)」と、その結末を明かした。
次に話題は作品内に移り、バイクに乗ったレオンとゾンビ犬・ケルベロスのチェイスシーンについて。押井は「基はドーベルマンでしょ? 本物のドーベルマンを見れば、あの脚はない。太すぎる」と駄目出し。それに対し、辻本は「車を押しつぶしたりするから、スタッフが太くしてくれたんです。僕も太いなとは思った。でも、良かれと思ってキラキラした目で持ってきてくれたので、否定できなかった(笑)」と弁明した。
対する辻本も、押井が映画「バイオハザード」の次回作を狙っていると暴露。押井は「狙っているわけじゃない。でも、オファーが来たら絶対断らない(笑)」とコメントし、辻本に「大概の人はそれを“狙ってる”って言います(笑)」とやり込められていた。
辻本に暴露されてしまった押井は、「『私だったらこうする』っていうのはあるよ」と、映画「バイオハザード」に対する熱い思いを告白。「おやじ2人の映画にする気は全く無い」と本作を冗談交じりにやゆし、「主人公はやっぱりジルでしょ!」「相手役が男だとそういう風に(恋愛ものとして)見られてしまうから、相手役も女性に」「敵も理想は女性」と、自身の構想を明かした。
「『イノセンス』とかでおやじを描いてきたが、最近はおやじが嫌になった」との理由から女性重用での作品構想となった押井だが、辻本からはその偏重ぶりを「ただの女好きにしか聞こえなくなってきましたよ(笑)」とからかわれていた。
その後も「バイオハザード」への思いや、辻本に本作の意見を語った押井。締めのあいさつでは「本作が結構うまくいったと聞いているので、辻本貴則もこれで一人前の監督の仲間入りです。ただ、仲間入りした以上これからは敵なので、次からは容赦なくたたこうと思っています(笑)」と会場の笑いを誘うも、最後は観客へ「これからも辻本貴則をよろしくごひいきください」と語る師匠ぶりをのぞかせ、トークショーを締めくくった。
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