家光は有功に「お万」と女名を名付けるが、有功が親よりの名である「有功」を使わせてほしいと言うと、何度も扇子で顔を叩きつける。有功は、春日局の目論見によって、徳川の血を絶やさぬために、亡くなった家光の息女が上様として据えられたことを知る。このことを知るのは限られた者のみであり、万が一人に見られた時に家光のお小姓と言い逃れるために男装し、有功は跡継ぎを作るために大奥入りさせられたのだった。
大奥には有功のほかに角南重郷ら3名が家光のお相手としており、彼らは有功のことを快く思っていなかった。武芸の経験がない有功を角南らが道場に誘い、挑発する。素振りをすることとなった有功は1000回やることを受け入れて宣言するが、100回もいかないうちに息が上がる有功を見ていられないと角南たちは立ち去ってしまう。それでも有功は1000回をやりきり、その場で倒れてしまう。
家光は有功が1000回素振りしたことを知って驚く。その夜、有功が寝床で苦しみに耐えていると、家光が突然やってきて白猫を有功に放り投げる。「かわいらしいからやる」という家光の言葉に有功は微笑んだ。
それぞれ違う人生を歩んできたが、大奥で出会い大奥に閉じ込められている家光と有功。自らの意思と力ではどうすることもできない運命にある2人の姿が痛々しく切なく映るのだった。
◆構成・文=牧島史佳
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