一方、未婚の浜辺は「私は(夫婦に)なったこともないんですけどね、難しい(笑)。でも、心の会話というのは興味深いですね。心の会話か~それはあんまり育んだことがなかったですね」と賀来の言葉をかみ締めながら、自分に置き換えて考えていると、賀来から「お父さんとお母さんはどうだったんですか?」という質問が。
それに対し、浜辺は「ある程度の距離感があったタイプなので、あっちはあっちで2人の時間があって、家族は家族の時間。2人だけの関係の時の距離感は知らないかもしれない。“心の会話”を目の当たりにしたことがなくて…」と“心の会話”について悩みながら返すと、賀来は「僕もさっきあんなに偉そうなことを言いましたけど、ただの若造ですから」と恐縮していた。
その後、今回舞台あいさつには登壇できなかったが、本作で声優を務めた木村昴、沢城みゆき、神谷浩史からのボイスメッセージが届き、賀来、浜辺、渡邉監督もうれしそうに聞き入っていた。
同作は「このマンガがすごい!」史上初めて異なる作品で2年連続1位(2017年「金の国 水の国」、2018年「マロニエ王国の七人の騎士」)という偉業を成し遂げた、岩本ナオの同名漫画のアニメーション映画化作品。気鋭のクリエーター・渡邉監督のメガホンで1月27日に全国公開された。
商業国家で水以外は何でも手に入る“金の国”の、誰からも相手にされないおっとり王女・サーラ(CV:浜辺)と、豊かな水と緑に恵まれる“水の国”の、貧しくも家族思いの建築士・ナランバヤル(CV:賀来)は、100年断絶している敵国同士の身でありながら、国の思惑に巻き込まれ“偽りの夫婦”を演じる。互いの思いを胸に秘めながら、真実を言い出せない不器用な2人の“優しいうそ”が、国の未来をも変えていく。
◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ