ーーお百がオペラ館で披露している舞がとても美しかったです。
舞自体も初めてだったのですが、それに加えてヒールを履いていることでバランスを取るのも難しかったです。練習期間も1週間程度しかなかったので焦ったのですが、しっかり見せたい、ギリギリまでとことんやろう、という気持ちで取り組んでいました。
実は第2話と第3話の舞は振り付けとしては同じなのですが、第2話に関しては見てくださる方に「これが踊り子・お百だ」と伝えることを第一優先にして、「魅せる」ことを意識して作っています。一方、第3話ではどちらかというと「心」で表現しています。格好よく見せよう、美しく見せようということを考えるような状況ではなかったので、感情の動きを体で表現するシーンになりました。
ーー第3話では、舞台に立ったお百が自分の声で歌ってからの一連のシーンに胸を打たれました。
物語の中で、お百はずっと希望を追っているんですよ。何でみんなわかってくれないんだろうと思いながらも希望を追って生きている中で、太郎と出会って期待しちゃうんですよね。「あれ、わかってくれる人がいるのかもしれない」って。
それでも結局、どうせ自分のことは自分でもう何とかするしかないんだ、という結論に陥ってしまって、ああいうふうに物語が進んでいくので、あのシーンのお百は、心はもう死んでいる手前でした。
ーー太郎とお百のシーンの中で印象深かったシーンは?
お百が太郎の部屋で自分の思いを吐露するシーンです。環境のこともあり、人に自分の気持ちを正直に伝えることができなかったお百が、太郎に心を開いて自分の思いを伝えられたのは、とても大きいことだったと思います。結果としては、あまりいい方向に行かなかったのですが...。
ーー世古口さんご自身は、お百のように仕事上で本意ではないことをやらなければいけない時、どのように折り合いをつけていらっしゃいますか?
僕自身は映画とドラマに感動をもらって、「届ける側になりたい」という思いから俳優業をやらせていただいているので、もし需要があって求めてくださる方がいるなら、やっぱり届けたいっていう気持ちがあるんです。どんな内容でも、人が喜んでくれるなら参加したいな、っていう気持ちで働いています。
ーーもしも現代にお百が生きていたら、自由に生きられたと思いますか?
「探偵ロマンス」の頃よりは生きやすい時代になっているのかなとは思います。スマートフォンなども普及して、SNSで自分の好きなことを発信できますし、それに賛同してくれる方もきっといるので。お百がもしうまくSNSを使いこなせれば、幸せな環境になっていると思います。
ーーもしも「探偵ロマンス」の続編が制作されるとしたら、お百としてやってみたいことを教えてください。
お百は釈放されるんでしょうか...?(笑)。でも、舞のシーンがあったらうれしいですね。またオペラ館で働きたいです。