【漫画】伏線がすごい…少年を天才にするためにとった“衝撃の行動”に反響「世界観に飲み込まれる」

2023/02/23 18:30 配信

芸能一般 インタビュー

少年は私の“作品”…星樹スズカさんの『空蝉の卵』が話題(C)星樹スズカ/スクウェア・エニックス

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回ピックアップするのは、絵が描けなくなった女教師が問題児の少年を天才にする漫画『空蝉の卵』だ。

作者の星樹スズカさんが1月30日に本作をTwitterに投稿したところ、2.5万を超える「いいね」が寄せられ、「めっちゃ引き込まれました」「すごいとしか言えない」「この世界観大好き」といったコメントが集まっている。この記事では星樹スズカさんに話を伺い、創作の裏側などを語ってもらった。

「少年は私の"作品"」絵を通じて描かれる2人の関係

『空蝉の卵』より(C)星樹スズカ/スクウェア・エニックス


手の故障をきっかけに絵の道を諦めた空世羅耶は、小学校で美術教師として働いていた。副担任を務めるクラスには、成績は悪くないのにたびたび奇行に走る少年・鬼蓮がおり、担任は手を焼いていた。しかし、空世先生は鬼蓮を一目見た時から自分の過去と重ねていたのだ。

家庭環境が悪く、生き物を破壊して心を満たす鬼蓮。そんな彼に空世先生は「心がぐちゃぐちゃするのを他の物にぶつけるのは楽しいよね」と認めたうえで、その破壊衝動を生き物ではなく「絵にぶつけてみない?」と提案する。すると鬼蓮は持ち前の観察眼で、絵をみるみる上達させていく。だが、やがて空世先生は彼の絵に対する素質と同時に、自分に向けられる視線が性を帯び始めていることに気付く。

鬼蓮が小学校を卒業しても交流は続き、14歳の頃には全国の最優秀賞を授賞するまでに成長していた。授賞式に参加した空世先生は、かつての恩師に出会う。恩師も鬼蓮に過去の空世を重ね、彼のさらなる成長には「何か機会がなければ…」と言葉を残す。一方、鬼蓮は空世先生が恩師と話していたことに嫉妬し、授賞式の帰り道に思いをぶつける。そんな彼に対して空世先生がとった行動とは…。

言葉では言い表せない2人関係性や、衝撃のラストシーンが反響を呼び、Twitter上では「伏線がすごい…」「言葉にしづらい関係」「最後が最初につながってる」などの声が続々と寄せられた。

「1度目でも面白く、2度目を読んだ際により面白く」作者・星樹スズカさんが語る創作の裏側とこだわり

『空蝉の卵』より(C)星樹スズカ/スクウェア・エニックス


――『空蝉の卵』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。

『DEVILMAN crybaby』が好きなのですが、そこで永井豪先生を調べた際に「彼の天才性を保持させるための童貞を守る会が発足した」というのがとても印象的で。でも別にそれは意味がなかったそうなのですが…性の発露が才能に繋がるってとても面白いなと思い、そこからじゃあ童貞を奪おうとする女性もいるはずだ、と考えたのが始まりでした。

――ぐちゃぐちゃした心を破壊衝動で満たす少年・鬼蓮と、鬼蓮に過去の自分を重ねる不思議な美術教師・空世先生、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか。

変人だけど天才である少年の初恋の相手、彼の童貞を奪うに足る女とはどういう関係だったのか?を考えた際に教師が教え子を啓蒙する関係だと思い、そこから膨らませていきました。

――『空蝉の卵』では、空世先生に恋愛感情を寄せる鬼蓮の不気味で繊細な表情描写が印象的です。本作を作画する上でこだわった点はありますか?

蓮は直情的で不気味な子ですが、空世先生の前だととても子どもらしい表情をします。先生といる時の蓮と、いない時の蓮の表情の差を意識しました。表彰式の時とか先生がいないのですごくつまらなさそうですね。

――本作の中で、星樹スズカさんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

空世先生が扉を開けて蓮を明るい光に感じるシーンですね。あそこが彼女にとっての明確なターニングポイントなので。

――星樹スズカさんが本作に限らず、漫画創作において意識していることがありましたら教えてください。

1度目でも面白く、2度目を読んだ際により面白くなる漫画になるよう意識しています。

――最後に、今後の目標や作品を楽しみにしている読者の方へメッセージをお願いします。

この次の作品はマンガUP!にて『悪役令嬢の矜持〜婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。〜』のコミカライズを担当します。それと同時に趣味の方でも創作漫画を描いていくつもりなので、一つ一つの活動を見守って、応援していただけたらとても嬉しいです。