Uru、“一発録り”で際立つ人の心に優しく寄り添う“奇蹟の歌声” 唯一無二のシンガーの軌跡

2023/03/10 06:10 配信

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「振り子」のTHE FIRST TAKEサムネイル※提供写真

レコード大賞の「特別賞」を受賞


さらに、2020年秋はダブルタイアップの両A面シングル「Break/振り子」をリリース。前者はテレビアニメ「半妖の夜叉姫」のエンディングテーマ、後者は映画「罪の声」の主題歌として書き下ろし曲。これらの活動が評価されて2020年12月に「第62回輝く!日本レコード大賞」で「特別賞」を受賞するなど、飛躍の年となった。

その後も彼女の活躍ぶりは枚挙にいとまがなく、2021年2月公開の北川景子主演映画「ファーストラヴ」の主題歌「ファーストラヴ」をリリース。カップリングの「無機質」も同映画の挿入歌に起用されており、実写映画としては4度目の主題歌アーティスト担当で、自身初めて主題歌&挿入歌をダブルで手掛けた。主題歌「ファーストラヴ」について、自身初めてMVにも出演した北川は「この作品の登場人物たちがそれぞれに抱えた心の傷を優しく解いてくれるような、温かい楽曲です。優しく澄んだUruさんの歌声に包まれ、試写で聞いた時は涙しました」とコメントしている。

同年8月には比嘉愛未主演ドラマ「推しの王子様」(フジテレビ系)主題歌の「Love Song」をリリース、2022年は4月期に放送された「マイファミリー」(TBS系、ディズニープラスで配信中)の主題歌「それを愛と呼ぶなら」、同11月には配信限定でシンガーソングライター・優里提供の「そばにいるよ」(ABEMA「私たち結婚しました 4」主題歌)をリリース。さらにwacci・橋口洋平提供のデジタルシングル「恋」も収録された3rdアルバム『コントラスト』が2月1日に発売された。

ちなみに以前Uruは優里の「ドライフラワー」、wacciの「別の人の彼女になったよ」もカバーしているので、男声との違いを聞き比べてみるのも良いかも。

「恋」サムネイル※提供写真

聞く者すべてに寄り添う“The Singer”


CD、デジタル配信限らずリリース曲のほとんどがタイアップソングとして起用されるなど、メディアとの相性が抜群のシンガー・Uru。それでも「性質上難しい」ということもあってか初出演から3年たっても数えるほどしかテレビ番組では歌唱していない。あくまでひたむきに、真摯(しんし)に音楽と向き合い、「歌を届けるのが私の仕事」というように淡々と歩みを進め、唯一無二のシンガーとして着実にファンを増やしている。

そんな彼女の最大の魅力は、聴く人に語り掛け、寄り添ってくれるかのような優しい歌声。特にイヤホンで没入しながら聞くと、よりいっそう身近に感じられるというか、「これは自分にしゃべりかけてくれているのだろうか?」と錯覚してしまうほど。今回のTHE FIRST TAKE「それを愛と呼ぶなら」は、デビュー時からアレンジを手掛けるトオミヨウ氏のピアノ伴奏のみなので、特に歌の良さをストレートに感じさせる仕上がりで、よりUruの歌声の良さを引き立てている。

タイアップが多いという話をしたが、「マイファミリー」しかり「ファーストラヴ」しかり、「罪の声」しかり、「テセウスの船」しかり…いずれもやるせないショッキングな事件が描かれる物語。そういった楽曲に起用されることが多いのは、彼女の歌声にどこか切なさと希望というアンビバレントな要素が感じられるからなのではないだろうか。聞くだけで心が洗われ、まるで浄化されるような歌声。これを奇蹟と呼ばずしてなんと呼ぶのか、私はまだ知らない。ただ、それを愛と呼ぶなら、合点がいく。

一億総発信時代、いくら目や耳を覆っていたとしても嫌な出来事は入ってきてしまうが、Uruの歌声は、今日も誰かの心を癒やしている。まだその世界に触れていない人は、「THE FIRST TAKE」の2曲だけでも、まずは聞いてみてほしい。

◆文=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)

『コントラスト』カバー盤サムネイル※提供写真

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