ナタリー・ポートマンが“純真な白鳥”と“官能的な黒鳥”を体現「ブラック・スワン」ほかアカデミー賞主演女優賞5傑

豪華女優陣の演技合戦

イギリスの女優であるオリビア・コールマンが人間ドラマ「女王陛下のお気に入り」で受賞したのは第91回(2019年)。本作は18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の女性たちの入り乱れる愛憎を描く。

愛と野望が渦巻く宮廷ドラマとして好評を博し、オリビアの女王ぶりは一見の価値アリ。オリビアを含む、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの名女優3人による演技合戦も楽しめる。主演女優賞に加え、作品賞、監督賞、助演女優賞(エマ、レイチェル)、脚本賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞と、同年の「ROMA／ローマ」と並ぶ最多9部門10ノミネート作品となった。

第78回(2006年)の主演女優賞は「ウォーク・ザ・ライン／君につづく道」に出演したリース・ウィザースプーン。伝説のシンガーとして知られるジョニー・キャッシュの生涯を描いた本作で、彼の2人目の妻となった歌手ジューン・カーターを演じ話題を呼んだ。歌うシーンは吹き替えなしという本気ぶり。ジョニー役のホアキン・フェニックスと共に、観客の心に響く歌声を披露している。また、主演男優賞、編集賞、衣裳デザイン賞、録音賞にもノミネート。目と耳で世界観に浸れる1本だ。

3度目の主演女優賞

最後は、第93回(2021年)の「作品賞」と「監督賞」も獲得した「ノマドランド」を。キャンピングカーで各地を放浪する現代のノマド(遊牧民)とも言える女性が、自分と似た境遇の人々と交流していく様をドキュメンタリータッチで描く本作で、フランシス・マクドーマンドが3度目となる主演女優賞に。過去に受賞した「ファーゴ」の警察署長、「スリー・ビルボード」の娘を殺された母親とは違う、どこか飄々としたところがありながらも厳しい現実に直面し葛藤を抱える女性を自然体で演じている。ちなみに、アカデミー賞の主演女優賞最多記録はキャサリン・ヘプバーンの4回。

アカデミー賞の発表まで1カ月を切ったところで、あらためてディズニープラスで華やかな女優たちの名演をじっくり味わってみては？

◆文＝小池貴之