中学校に上がって部活に励み、おかげであれほど鈍足だった私が、体育祭のクラスリレーの選手に選ばれたのだ。クラスの代表なわけだ。今までの私では考えられない快挙だ。
部活を頑張ってきて本当によかった!
ウキウキルンルンで家に帰り、母親に自慢をした。
「クラスリレーの選手に選ばれたよ! 体育祭、観にきてね」
そして体育祭までの期間、とにかく走り続けて特訓をした。
だがどんなに頑張っても上には上がいた。
小学生の頃から徒競走でメダルをもらっていた足の速い子達には当然、追いつくことができなかった。
リレーで走っていた時の記憶は全く残っていない。
気がついた頃には全てが終わっていた。
結果は4クラス中の最下位。
自分1人が負けるだけならまだいい。ただ、クラスの代表選手になり、みんなの期待と視線を感じながらのビリ。小学校の運動会で何よりも恐れていたビリ。
流石に堪えるものがあった。
小さい頃から鈍足の私が、昔から足の速い子達にリレーで勝てる、そんな逆転劇があるわけない。代表選手になれただけでも充分な成果をあげただろう。と、その場では言い聞かせた。
だが結局、外から見れば負けは負けなのだ。
何においても1番になれたことがなかった。
敗北を何度も味わってきたから、
自分が勝った時、自分に負けた誰かが存在する事も苦しい。だから、誰かと何かを比較するのもされるのも嫌いだ。
現状維持で、メダルはいらない、ビリさえ逃れればいい、私は人生の節目節目でそんな風に考えながら生きてきた。
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