【テレビの開拓者たち / 濱谷晃一】気鋭のドラマプロデューサーは「テレ東っぽさ」が武器?

2017/06/19 06:06 配信

ドラマ インタビュー

自分のやりたいことと、視聴者がテレ東に求めることが合致しているのかも


濱谷晃一Pの最新作「下北沢ダイハード」。東京・下北沢を舞台に“人生最悪の一日”を1話完結のオムニバス形式で描く(C)「下北沢ダイハード」製作委員会


──「俺のダンディズム」でもプロデューサー・脚本・総合演出を担当されていましたね。そうやってプロデュースと監督を兼ねることによって、“濱谷ドラマ”のカラーが出来上がったようにも思います。

「『俺のダンディズム』のころにはドラマ部へ異動していたのですが、それでも有名な原作、脚本家、キャストに頼らず、自分のオリジナル企画をどう通すかにこだわってました。そこで思いついたのが、ドラマに情報を盛り込む、という手法でした」

――大人の男の嗜好品という商品情報をドラマの中に盛り込もう、と。

「そうですね。その後も、『ワーキングデッド~働くゾンビたち~』('14年)では、モンスターサラリーマンの生態をドキュメンタリー風に見せたり、『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』('15年)では、相手を褒めるコミュニケーション術を、TVゲームの世界観の中で紹介したり、という」

──いわば「孤独のグルメ」('12年ほか)でテレビ東京が切り開いた道でもありますね。

「テレ東では、『孤独のグルメ』がヒットして以来、グルメもののドラマの企画が100本届くみたいな時期があって(笑)。この列に並んでも順番は回ってこないなと思って、“情報もの”という別の切り口に考え方を変えたんです」

──濱谷さんは、ご自身のプロデューサーとしての強みはどこにあると思われますか?

「何でしょうね…、弱みは人見知りとか、交渉が下手とか、いくらでも浮かぶんですけど(笑)。バラエティー畑が長いので、発想が他の人と違っていたり、アイデアが浮かぶスピードは早かったりするのかなと。それが唯一の強みというか、生命線。あとは、演出の経験があるので、監督目線で考える。テレ東のプロデューサーの中でも、誰よりも自分はテレ東っぽいなと思うんですよ。良い意味でも悪い意味でも。自分のやりたいことと、視聴者がテレ東に求めることが合致しているのかもしれませんね。他局だったら1ミリも活躍できてないと思います」

──「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」も話題を集めましたね。

「『バイプレイヤーズ』は、ドリマックス(※制作会社)さんにご提案いただいた企画なんですけど、とても世の中に刺さった手ごたえがあり、ああいう企画をこれからも発信していきたいですね。

あとは欲を言えば、これからはゴールデンタイムで視聴率を獲れる作品も作りたい。会社から深夜ばかりやってるとよく怒られるので(笑)。でも、僕がゴールデン向きのメジャーな企画だと思って提案しても、他人からはB級っぽく見られちゃいそうで不安ですが(笑)」

──7月からは新ドラマ「下北沢ダイハード」もスタートします。

「小劇場のファンなので、いつか、あの面白さをテレビドラマでも発揮してほしいなと思ってました。小劇場の作家さん11人が脚本を担当し、1話完結の設定とキャストで、下北沢の街で起こるちょっとしたスペクタクル…“小さな「ダイ・ハード」”を描くオムニバスドラマです。どちらかと言うと、またマニアックなドラマになっちゃいましたかね(笑)。ナビゲーターは古田新太さんと小池栄子さん。下北沢にゆかりのある素敵な演劇人の2人です。こちらもぜひ、楽しみにしていてください!」