すがりつくような母の声に感情を揺さぶられ、律や遊馬とは別れて母の元に行くという真澄。遊馬も同意するが、律は真澄の腕をつかんでやめておけという。「ろくでもない母親と縁を切ったんだろ?」と言われて、言葉が出ない真澄。
しかし、それでも行くという真澄に、律は「じゃあ、俺もやーめた。家に帰ってゴロゴロしてるわ」と鷹揚に言って車に乗り込む。約束が違うと遊馬は慌てるが、律は「真澄が行かないなら俺も行きたくない、面倒くさくなってきた」と言う。車までツカツカと戻って遊馬を連れて行ってやれと言う真澄に向き直り、律は真澄の目を見つめて「残り少ない人生、俺もお前もしたいようにするだけだ」と告げる。それを聞いた真澄は「俺のしたいこと……?」とつぶやく。
浜松の遊馬の実家へと車は向かい、真澄も同乗していた。海沿いに車を止めて休憩することにし、遊馬ははしゃいで海に向かって駆け出していく。真澄と律は浜辺の流木に腰を下ろした。
「ごめんね。お母さんのとこ、行きたかった?」と尋ねる律に真澄は「行きたくなかった」と言う。考えて考えてそれでも行きたくなかったと涙する真澄。手をつないで歩いた母との楽しかった思い出が脳裏を過ぎり、見殺しにしてしまうことに自責の念に駆られる。
嗚咽しながら自分の心の冷たさに絶望する真澄に、律は優しく「真澄、行かなかったのは俺のせいだろ」と声をかける。お前は悪くないよと肩を抱く律に真澄は寄りかかってしゃくりあげる。真澄のやるせない辛さに見ているほうも涙がこみ上げる。また、真澄の心情を理解し、真澄が欲しかった言葉をかける律の姿にさらに泣けてくるのだった。
◆構成・文/牧島史佳
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