Liyuuが紡ぐ、5編の「恋の物語」。ミニアルバム『koii』インタビュー

2023/02/22 18:30 配信

アニメ インタビュー

Liyuu※提供写真

“My Beating”では、わたしのことを知らない人でも、聴いたときに共感できる曲を歌いたいなって思いました


――「いろんな心境が歌詞に入ってる」と話してくれた通り、確かに聴いていると、どの曲も歌詞や歌から、ストーリーや「こういう風景なんだろうな」っていうビジュアルが想像できる曲になっていて、そこがとても素敵だと思います。それぞれの曲で、どんな風景や主人公をイメージしながらレコーディングしたのかを聞いていきたいんですが、まずはM-1の“OPEN UP!”から話してもらえますか。

Liyuu:はい。“OPEN UP!”は、実はレコーディングの最初、「どういうふうに歌うんだろう?」って、ちょっと悩んでたんですね。(作曲の)JUVENILEさんもその場にいらっしゃったから、「どういう雰囲気ですか?」って聞いてみたんです。そうしたら、「とにかく煽る曲なんです」って言われたことを覚えてます。だから歌うときは、ちょっと強気さが出ている感じで。とにかく、煽ります!(笑)。この曲はMVも撮っていたので、一番理解しやすいかなって思います。まず、ふたりいますね。ひとりが普通の女の子で、まだ恋に対して勇気がちょっと少ないなって悩んでたりしていて、もうひとりの子はスーパースターで、煽ってます。この主人公の普通の女の子と同じく、煽りを受け止めたらいいのかなって思いました。

――勇気が欲しい子とスーパースター、両方の女の子の気持ちを想像した。

Liyuu:そうです。レコーディングのときは煽りの部分を想像しながら、とにかく聴く人を煽ります(笑)。これは歌詞を見てもわかるかもしれないですけど、Aメロ、Bメロでは恋に対しての話がたくさんあって、サビに入ると、もう恋だけではないんですね。限られていなくて、「やりたいことをやれ!」みたいな感じで、一歩踏み出せば絶対いいことが待ってるよっていう歌詞なんですね。だから恋には限られてなくて、いろんなことで一歩が踏み出せない人が、これを聴いて「あっ、できるかも」って感じてくれたらいいなって思います。

――確かに、この曲の煽っているところを聴くと、元気が出ますね。

Liyuu:そうですね、はい。すごく盛り上がる曲です。

――M-2の“Yellow”は、切ない気持ちが表現されてる曲ですね。

Liyuu:そうです。これは幼馴染みの曲で。主人公の女の子視点で歌っていて、今までずっと仲いいんだけど、幼馴染みで、片想いを持っていた女の子ですね。気持ちを伝えたら、今までの関係を壊すかもしれないっていう心境があります。

――幼馴染みっていう設定やストーリーは、作詞の人に「こういう歌詞ですよ」って言われたんですか。あるいは自分でイメージしたんですか。

Liyuu:今回のミニアルバムでは、最初にスタッフさんたちと一緒に1曲ずつのテーマを決めたんです。それから曲を頼んでいて。幼馴染みのテーマは、実はわたしではないですね。スタッフさんのひとりが「やっぱり、恋は幼馴染みです〜」って(笑)。

――(笑)恋がテーマだったら幼馴染みは入れるだろう、と。

Liyuu:そうですそうです。もう最初に「絶対に幼馴染みは入れたほうがいいです」って(笑)。わたしは幼馴染みがいないから、「おお〜」って思いました。中国では、近所の子と幼馴染みとかあまりなくて――日本のアニメにもよく幼馴染みがいるし、恋愛ドラマにもいますね。だから、わたしには新鮮で、この1曲はドラマみたいな感じで聴けるのかなって思いました。

――M-3の“My Beating”の歌詞では、リアリティがあって想像しやすい風景が描かれています。

Liyuu:うんうんうん。今までは、自分が歩いてきた物語とか、そういう曲をたくさん歌ってきたんですけど、わたしのことを知ってる人だったら受け止められる曲だなって思っていて。“My Beating”では、わたしのことを知らない人でも、聴いたときに共感できる曲を歌いたいなって思いました。やっぱり、広がりたいですね。もっともっとたくさんの人に、わたしのことを知ってもらいたいのもあって。この曲の歌詞はけっこうリアリティがあって、すごく共感できそうな曲だなって思いました。

――聴いてる人も共感できるだろうし、Liyuuさん自身もこの曲に共感できた?

Liyuu:そうですね。この曲の主人公の女の子は、毎日仕事に集中してるんです。

――歌詞に、満員電車が出てきますね。

Liyuu:はい。生活にいっぱいいっぱいな女の子なんですけど、恋に対しても憧れが残っていて。最初はちょっと、自分はもしかしたらこの生活で麻痺しているんじゃないかなっていう――。

――どれくらいの年齢の主人公を想像するのかが、大事な感じがしますね。

Liyuu:そうですね。でも、そんなに限られてなくて。今の時代の女の子ってこういう感じじゃないかな、こういう人が多いのかなって思いました。仕事に対して一生懸命だからこそ、恋をする時間も徐々になくなっていて、恋っていうものと徐々に離れていて、「恋ってどういうものなんだろう?」みたいな気持ちの人が、たくさんいるんじゃないかなって思いました。仕事が自分にとって大事なものだと思っているからこそ、仕事以外のことに暇がないのも、今なのかなって思います。

Liyuu※提供写真


――M-5の“ミルクキャンディ”は宮嶋淳子さんによる歌詞ですね。1stアルバムの中でも印象的な楽曲である“Reply”を書いてくれた方でもあって。今回は、青春っぽいテーマが描かれています。

Liyuu:そうですね。ほんとに“My Beating”とは真逆な曲になるんですけど、“My Beating”はすごくリアリティのある話、共感しやすいことがたくさん入っていて、“ミルクキャンディ”は理想的な話が入っているんですね。やっぱり、青春って一番の理想じゃないですか。日本特有の、スクールストーリーの感じがこの曲で表現されているのかなって思います。曲自体も、少女漫画がアニメ化されたときのオープニングテーマみたいな感じかなって思いました。わたしもアニメが小さい頃から好きで。ラブコメみたいなストーリーがほんとに好きだったので、憧れているところがたくさん入っていた曲です。


取材・文=清水大輔

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