<大奥>倉科カナ“吉保”の仲里依紗“綱吉”に向けた執念があまりにも深くて切ない

2023/02/22 12:57 配信

ドラマ レビュー

吉保の綱吉に対する業が深すぎる!


夜、寝床で夢うつつに右衛門佐の名を呼ぶ綱吉のもとに来たのは吉保だった。右衛門佐だけが欲得のない慈しみを教えてくれたと綱吉が話すと、悲痛な表情で涙を流しながら「そうですか」と応える吉保。

そして、吉保はなんと濡れた布を綱吉の顔に被せ、苦しみ悶える綱吉にガバッと抱きつく。そのまま綱吉との誓いの日の思い出を語りかける。あの日、綱吉は桂昌院と関係を持つ吉保を責めて太ももに小刀を突き立て、「何があっても一生私に仕えると、決して裏切らぬと誓うか?」と尋ねた。吉保は痛みにも耐えながら綱吉の目をまっすぐ見つめ「はい、生涯お側に」と答える。

吉保は濡れ布を被せられたまま呻く綱吉を羽交い締めするようにきつく抱きしめたまま、終生お側にいられるかと天にも上るような心持ちだったと語りかけ、私のどこに欲得がございましたでしょうかと泣きながら訴える。

綱吉は吉保の腕の中で事切れる。吉保は濡れ布を取り、綱吉に「上様に恋をしておりましたよ、幼き日よりずっと、誰よりも長く深く…」と言い、「右衛門佐とお会いになりましたか?」と綱吉に顔を寄せて泣き伏すのだった。

吉保の業に執念の恐ろしさを抱きつつ、やるせない切なさを感じて胸が詰まる。生きることに虚しさを感じて人生を終わらせたい、この世を去った右衛門佐のもとに行きたいと思っているであろう綱吉の願いを感じ取り、自らの手で叶えてやった吉保こそ、真の意味で綱吉を一番愛していたのかもしれないとまで思えた。

「大奥」第7回より(C)NHK


◆構成・文=牧島史佳