毎週木曜夜8時より放送中の内藤剛志主演ドラマ「警視庁・捜査一課長 season2」(テレビ朝日系)が、6月22日(木)に最終話を迎える。
本作は、「土曜ワイド劇場」の1作品として2012年に誕生し、同枠で計5本放送。満を持して昨年4月期に連続ドラマ化されたテレビ朝日の“ミステリーエリート”だが、前評判通りseason1が多くの視聴者から支持され、2年連続で4月クールの木曜ミステリー枠を飾った。
主演を務める内藤は、かつて「27クール続けて連続ドラマ出演」という日本記録を打ち立て、“連ドラの鉄人”の異名を持つが、中でも刑事を演じたテレビドラマが30作品を超え、もはや本職は刑事なのではないかと誤解されてしまうほど(失礼!)のキャリアを誇る。
連続ドラマとして始動することが発表された際、プロデューサーは「このシリーズの魅力は、何といっても、主演・内藤剛志さんのお人柄がにじみ出た、警視庁捜査一課長・大岩の“人間力”だと思います。他人の気持ちを察して思いやる人情派で、どんな人の話にも耳を傾け、周囲も安心して心を許せる大きな存在。
“こんなリーダーが実在したらいいな”と願いを込めて、土曜ワイド劇場でスタートしたシリーズですが、スタッフ・キャスト全員が内藤さんの人間力に引き寄せられ、“この人に付いていきたい”との思いで一丸となって制作にあたってきたことが、作品全体を明るく前向きなものへと方向付け、それが皆さまからのご支持につながったのではと思っております」とコメントしていた。
その通り、他のドラマや映画では冷徹な“怪物”として描かれることもある捜査一課長という役職ながら、内藤演じる大岩純一捜査一課長は、常に部下を信頼し、鼓舞し、運転担当刑事に家でカレーを振る舞ったり、ビビ(愛猫)をめでたり、とても人間味あふれるリーダーとして唯一無二の存在感を示している。
そしてそれは脇を固めるキャストも同じで、大岩の右腕・小山田大介管理官(金田明夫)にしても、“大福”こと平井真琴刑事(斉藤由貴)にしても、事件を解決に導くために手段を選ばないというよりは、“罪を憎んで人を憎まず”のように、被疑者にでさえ寄り添う捜査を行っているように思える。
また、これぞ古き良き刑事ドラマとばかりに、毎回おなじみの展開があるという、“定番の妙”をしっかりと心得て、視聴者に向けて提示しているのも好感が持たれやすい要因なのではないだろうか。
例えば、所轄署との合同捜査本部を立ち上げて会議を行い、最後に一課長が言う「被害者の無念を晴らす」というのと「必ずホシを挙げる!」というキラーフレーズ。
小山田管理官と平井刑事のやりとりの中で、平井の勘を否定した際に大岩にたしなめられ、「(平井の勘は)頭の片隅にでも入れておきます」という一連の流れ。
そして、捜査に行き詰まった際、刑事部屋で平井が頭を抱えているときに大岩が差し入れを持って登場する「大福(平井)に大福の差し入れだ!」「わ~い! 白い餅で黒い餡を包む。黒星を白星で…略」のほのぼのシーン。
あとは、刑事部長・笹川(本田博太郎)と予期せぬ所で出会い、「大岩純一捜査一課長」と必ず役職付きのフルネームで呼ぶことや、運転担当刑事が捜査に入り込もうとすると、小山田が「おまえの職務は何だ!」というツッコミを入れるところ。
そして新メンバーの刑部(田中圭)の華麗なる女性遍歴を捜査に利用するところ、鑑識主任の武藤(矢野浩二)が遺留品などに関してうんちくを言った後、それを受けて小山田「…だそうです!」と大岩に報告するところ…などなど、よくもここまで集めたなと思うほど、さまざまな定番パターンが存在している。
分かっちゃいるけどやめられない、という日本人の性質をよく理解しているともいえるこのやり方は、今後さらにシリーズが続くとしたらぜひ続けてもらいたいところだし、何ならさらに定番パターンを増やしてほしい。
さらにseason2は特に一風変わったゲストがチラッと登場してきたのも注目すべき点だろう。初回のぺこを皮切りに、第6話の主題歌アーティスト・GLIM SPANKY、第8話のもえのあずき、そして最終話の鈴木奈々と、意外なキャストがほのかに香るコロンのようにドラマに彩りを加えている。
定番と異色。その2つが同居するからこそ、最初から最後まで平均視聴率の上でも今期民放連続ドラマでトップ3に食い込む勢いの数字をキープしてきたのだろうし、season3、4とまだまだこの熱き物語が広がりを見せていきそうな気がしてならない。
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