私は10代の頃、バイク屋さんでアルバイトをしていた時期がある。そこで見たDucati MH900eがとても鮮烈で、脳裏に焼き付いている。
世の中にバイクは山程あるが、MH900eは独自路線もいいところ。昔のものにも見えるけど、SFめいた、近未来感も持ち合わせている。刀にも通ずる何かがある気がするけれども、まるで違う気もする。混乱して気になって、調べたら中々に面白い。
MH900eの販売は、当時としては初の試みである「ネット注文」を主としていたそう。
即完売となったそうだが、そのニュースを目にしたり、実際に注文されたりした人たちはどう感じていたのだろうか。デザインも販売方式も斬新すぎて、私なら驚いたり不安がったりしたかな…などと考えたりしてみる。
更に調べると、1979年発売の、MHRというモデルが元になっているらしい。確かに面影がある。
20年前のバイクの面影をもちながら、世界初の方法で世に送り出されたバイクが、更に20年間愛されている…
日本では初度登録が2002年だが、車両の販売開始は2000年の1月1日だったのだよ、とアルバイト先の店長が教えてくれた。
時代の転換点に発売だなんて。
こんなにタイムスリップ感あるバイクは、中々他にないのでは？
歴代のオーナーが大切に乗ってきたに違いないその個体は、乾式クラッチと猛々しい排気音で、私の胸を躍らせた。きっと２０年前から今にかけて、大勢を魅了してきたのだろう…
それからMH900eは私の憧れのバイクになった。
こんな具合で私は、日常生活の中で折々の小さな歴史を見つけ、深く思い偲ぶ事でタイムスリップを味わっている。
なにげない日常の一部と少しのときめきが、タイムマシーンになるかもしれない。
皆さんもご自分のタイムマシーンを探してみては如何だろうか。驚く程身近な所にあるかも…
私のタイムスリップ話はまだまだ沢山あるけれど、それはまたの機会に。
スタイリング:菅晴子
ヘア＆メイク:福島加奈子(ごほうび)
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