定本楓馬、35役・43000字の台本を演じ切った一人芝居の手ごたえ 自分を信じて生きる勇気を大切に

自分の思いを信じて生きる勇気を大切に

定本楓馬撮影=曽我美芽


――「仔狸綺譚」では主人公の狸ノ木くんが色々なものに化けて物語が進んでいきます。定本さんがなんにでも化けられるなら、何に化けてみたいですか?

能力も全部使えるんだったら、スパイダーマンになりたいです。日本だと交通事故を防ぐくらいしか、できることはないかもしれないけど…(笑)。スパイダーマンが好きなんですよね。最近少し時間ができたので、夜に(スパイダーマンの)ゲームをやって、カッコいいなあと思っています。日本人でスパイダーマンになれないかなあ…身体を鍛えておこう…。

――特にスパイダーマンのどんなところが好きですか?

赤が好きなので、赤いところと(笑)、人間味があるところ。スパイダーマンって全員おちゃめで、ジョークが好きでちょっと抜けてるのが好きです。あとは全身タイツなのに、どうしてあんなにカッコいいんだろうって。僕も全身タイツであんなにカッコよくなりたいという憧れがあります。

――劇中で狸ノ木くんは様々な人に出会いますが、定本さんが今までの人生で印象深かった出会いはなんですか?

学生時代、お芝居を学ぶ専門学校に入ったときの出会いですね。それまでひとつのことを死ぬ気でやるという経験がなかった。学校に入ったら、先輩も先生も本当にみんな厳しくて、でも愛があって。今までの自分の「頑張る」は「頑張る」じゃなかったなって、自分のぬるさを知りました。

――授業や指導が厳しかった?

厳しかったです。「みんな売れるよ」って言うような先生じゃなかったので。「辞めるなら今だぞ、それでもやりたいならやれ」っていう学校でした。

――そこで辞めようと思わずに、「やってやる!」と思った理由は?

「楽しい」が勝ってたのかもしれないです。全力で頑張ってみたときに、自分がひとつ成長できたと感じられた。どんどんできることが増えていくのが楽しくて続けられたんだと思います。高校生まで知らないことばっかりで、ただバイトしてぼんやり生きていたから、刺激が気持ちよかった。今回もそうですが、初めてのことに挑戦するのが好きなんです。

定本楓馬撮影=曽我美芽


――では、これから新しく挑戦してみたいことは?

最近は現代劇への出演が多いので、壮大な世界観の物語に出てみたいです。「ロード・オブ・ザ・リング」みたいな。でもそれにはアクションだったりとか、いろんなスキルが必要だと思うので、磨いていきたいです。

――演じてみたい役のタイプは?

明るい元気な役をやりたいですね!最近はお亡くなりになる役が多くて、明るい役を久しくやっていないので…(笑)。お芝居で笑いたいなと思います。

――最後に、「仔狸綺譚」はあと2話で最終回となります。ほのぼのした世界観の中に、実は深いテーマを秘めた物語だと感じましたが、定本さんがこの作品から感じたことを教えてください。

これからどう生きるかを決める上で、自分を信じてほしいというのは、僕がこの作品で救われた部分です。最近はSNSなんかでも、自分に関係ない物事についてそこまで言う必要あるのかな…と思うようなことが多くて。周りに気を使って自分を押し殺して生きるんじゃなく、辛い道かもしれないけど、自分の思いを信じて生きる勇気みたいなものを感じ取ってもらえたら、今悩んでいる人にとって、小さな1歩を踏み出せるきっかけになるんじゃないかなと思います。

定本楓馬撮影=曽我美芽

■取材・文/WEBザテレビジョン編集部
撮影/曽我美芽
ヘアメイク/松前詠美子
スタイリスト/東 正晃
衣装協力:スニーカー・・・¥17600(PONY)

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