──エドは一色さんと廣野さんのWキャストとなりますが、Wキャストだからこそ見えるご自身のエドの注目ポイントはどのようなところでしょうか?
一色 エドについては2人でよく話しています。でも、お互いにそれを参考にしつつも、絶対に似たエドにはならないだろうなって、最初から今日までずっと思っていて。
廣野 演じる人間が違うので、自ずと違うエドになるのは必然だし、それがWキャストの良さでもありますから。エドは少年らしい拙さもありますが、その中に強さもあって。軍部の大人たちを含めて、周りの人間が、見えないところで支えてくれて旅をします。それはエドの人間力ゆえだと思うので、僕はそういったところが出せたらいいなと思っています。
一色 エドは自分と弟の身体を取り戻す旅に出ていますが、どっちかというと自分の身体よりも弟を元に戻してやりたいっていうモチベーションのほうが数段高いんじゃないかと、今日思ったんです。確かにエドって、自分のことよりも人のために何かをするときのほうが力を発揮するシーンが多いんですよね。それが15歳にしてできるというのはすごい人間力だし、大人よりも大人らしい。と同時に、どこかに少年らしい快活さも持っていたいなと思いながら演じています。
──製作発表会で、今作の脚本・演出を手がける石丸さち子さんが、一色さんからは“愛”、廣野さんからは“怒り”を感じたとコメントされていたのが印象的でした。
蒼木 僕もその言葉、すごく印象に残っています。
廣野 不本意です! ……というのは冗談で(笑)。“怒りと愛”の違いかはわからないですが、確実に2人のエドに違いは出ているので、劇場でお客さんに確かめていただきたいですね。できれば両方のエドを見ていただきたい。
一色 凌ちゃんのエドを見ていると、愛と怒りって表裏一体なんだろうなと思うんです。愛があるから怒るわけで。だから自分も愛だけを意識せずに、しっかり怒りも抱いていたいと思っています。
──ではアル役の眞嶋さんは、アルをどういったキャラクターだと捉えて演じていますか?
眞嶋 兄への感謝がすごく大きくて、“兄さんが隣にいるから生きていける”という想いがすべての源、すべてのパワーになっている人物だと思っています。鎧の姿だけど、その精神が見えるように演じられたらいいなと思って、桜田さんと細かいところまで話し合っています。桜田さんが、表情まで見える動きをしてくださるんですよ。首のちょっとした角度とかで心情がわかるように動いてくれているので、一心同体で演じられたらいいなと思います。
──Wキャストでロイ・マスタングを演じる蒼木さん、和田さんは、ご自身の演じるロイについてどう感じていますか?
蒼木 僕はこれまで人の上に立つ人物の役というのをあまりやったことがなかったので、今はまだ苦労しています。でも軍部の皆さんはみんなロイに寄り添ってくれるので、軍全員で勝てたらいいのかなと。 “勝つ”という表現が合っているのかはわからないですが、自分ひとりでどうというよりは、全員で乗り越えられたら、みたいなことを考えていますね。
和田 製作発表会でも言ったんですが、ロイ・マスタングの強さって、圧倒的な立ちはだかる壁という強さではなくて、深みがある人間だからこそ持つ強さだなと、マンガを読んだときに感じて。その深さを追い求めながら稽古をしています。蒼木くんと僕でロイ・マスタングの捉え方は違うと思うのですが、僕は蒼木くんよりも年齢も上なので、大人の深みも表現できたらいいなと思って言います。
──吉田さんは、アームストロングをどういったキャラクターだと捉えて演じていますか?
吉田 僕はさっきからみんなとわちゃわちゃやっていますが、年齢的には教師みたいな存在。それが生徒たちの中に入っている感じなんですけど、それが劇中の軍部の良いところなのかなと思って、この雰囲気のままでいます。いわゆる2.5次元舞台での、原作に存在するキャラクターを演じるのが初めてなので、最初はどうしたらいいのかわからなかったんですが、石丸さんが脚本・演出だからか、全然2.5次元の稽古場っていう感じでもないんですよね。この稽古場の雰囲気がすごく良いなと思って。そもそも「鋼の錬金術師」って、いい話じゃないですか。それを「いいものですよ」って伝えるんじゃなくて、それぞれの人間力で伝えていく。そういう想いのもとやっている、結束力の強いみんなと作っているので、早く見てもらいたいですね。個人的には、アームストロングは特殊なキャラクターなので、少しでも箸休めになれたらと思っています。
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