中田圭祐“律”が語る、井手上漠“まどか”の最期が切な過ぎる<僕らのミクロな終末>

2023/03/06 15:07 配信

ドラマ レビュー

まどかは律に「死のうと思ったことある?」と尋ねる


泥酔パフォーマンスにより、SNSにはまどかに対する誹謗中傷があふれていた。「ひどいな」と律が言うと、まどかは、「知らないやつらに毎日ボロカスに言われるし、好きな子ともうまくいかなくて、あんなやつのどこが好きだったんだろ」と自嘲し、ビールの缶を開ける。そして、おもむろに「りっくんさ、死のうと思ったことある?」と尋ねる。

そんなこと言うもんじゃないと決まり文句を言う律に、まどかはイラつきながらあるかないかを聞いていると言う。ないと律が答えると、まどかは「いいなぁ」とため息をついた。

律がまどかを心配すると、自分もないと言うまどか。「でも、もし今、ここに押したら死んじゃうボタンがあったら押してる」と喉元に指を当てながら切実な顔で訴える。さらに心配する律にまどかは冗談だと言って笑う。しかし、ある日の真夜中、律の携帯にまどかから何度も着信があり、最後に「ごめんね、バイバイ」とメッセージが残されていた。

律は「すごく普通の子だった、ありがちな寂しがり屋の、傷つきやすくて衝動的な」とまどかを思い出す。まどかからのSOSに応えてやれなかったことを後悔する律。「俺も死んじゃうボタンがあったら、とっくに押してるわ」と言い、律は人生にやるせなさを感じていることを話す。

言葉が出ないめぐるたちだったが、遊馬は「ふざけんな、残り4日しかないんだぞ、俺たち。めぐるちゃんがかわいそうだ、お姉さんのこともっと考えたり悲しんだりする時間いるだろ」と言うと、空を見上げて両手を突き出し「隕石来るなー! 宇宙で爆発しろー!」と大声で叫びだす。

みんなもやろうと呼びかける遊馬だが、律は奇跡なんて起こるわけないと言う。それでも、遊馬は奇跡ってたまに起きるから奇跡って言葉があるじゃないのかと言い、「来るな隕石ー!」と続ける。めぐるも真澄も遊馬に倣い、立ち上がって空に手を突き出し、「隕石来るなー!」と叫ぶのだった。

まどかの最期は悲劇的で憐憫を誘われて、切なさが胸にこみ上げた。しかし、ピュアでまっすぐな遊馬のおかげで希望を感じられたラストだった。

◆構成・文=牧島史佳