コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、愛する金魚が亡くなった男性と"生きた"金魚鉢になった少女の物語『金魚鉢少女』をピックアップ。
作者のふかづめさんが、本作をTwitterへ投稿したところ、7,000件を超えるいいねを獲得し、「情緒がむちゃくちゃになる」「好きすぎる」など多くの反響が寄せられた。本記事では、ふかづめさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
男性は愛する金魚・ヨミチを失った悲しみを昇華させるかのように"彼女"を金魚塚へ眠らせ、毎日金魚塚を訪れていた。悲しみにふけっていると、女子高生に「お兄さん結構変わった人だよね」と声をかけられる。すると、男性はヨミチが亡くなった悲しみや、誰からもこの悲しみが理解されない喪失感から涙をボロボロ流し始めてしまう。
慌てて男性の気持ちに寄り添おうとする女子高生だったが、いきなり悶え苦しみながらうずくまるのだった。病院へ行くことを促す男性に向かって女子高生は「ねえお兄さん赤い和金だよね?ヨミチって」と知るはずもない情報を伝え始める。
実は、女子高生は昔金魚塚を荒らした過去があるようだ。その罰として"生きた金魚鉢"にされ、金魚塚で眠る金魚たちが皮膚の下を泳ぎ回り痛みを与え続けているという。これまでの行動を心から反省した少女は「(背中の)ヨミチを止めて」と男性に伝え…。
女子高生の体の中で泳ぐ金魚・ヨミチと男性の奇妙な恋愛関係に、Twitter上では「最高の世界観」など、多数のコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
――『金魚鉢少女』を創作したきっかけや理由があればお教えください
お話のベースができたのは3~4年くらい前だったのであまり覚えていないのですが、美しさと嫌悪感が同居するような作品を作りたいと考え、そういう作品を目指して作ったお話だったと思います。
――本作では、金魚塚を荒らした少女が償いとして金魚鉢になってしまうという独創的な世界観が印象的です。描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
色んな表情を描くのが好きなので、そういう面でいうと当作品は、作品中7割くらいは登場人物たちが悲しんだり苦しんだりしており、そういった表情をお楽しみいただけたらうれしいと思っています。
――ふかづめさんが個人的に気に入っている作品の1つでもある本作ですが、描くうえで難しかった場面はあるのでしょうか。
男性と「彼女」の関係性をあまり綺麗に描きすぎないように、ということは意識して描きました。綺麗で純粋な恋物語、というよりは、少しだけ奇妙で少しだけ怖い恋人たち、というスケール的には小さな非日常を濃くどろどろと描きたいし見たいな…と思って描いた作品だったので…。
――ふかづめさんの作品では、本作に限らずさまざまな形の「愛情」をテーマにした作品が多いようにお見受けします。作品を創作するときはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
実は昔から、愛情をテーマにしてストレートに描いた作品を見たり作ったりすることが少し苦手でした。それがいつしか「じゃあ自分はどういう愛情を描きたいのか」と考えるようになってから、特にこのテーマにおいては自分の一番好きなものをひたすら詰め込んでもいいと思ってお話を作るようになりました。なので着想というか、本当にこれまで自分が蓄えてきた好きなものを詰め込んだ闇鍋を作っている感覚で楽しいです。
――今後の展望や目標をお聞かせください。
お陰様で、多くの方々に作品を見ていただけるようになってきて、とてもうれしく思っています。ただ大きく目標を掲げるのもあまり自分らしくないので、いつか自分の創作がなにかしらの形で大きく皆様の目に止まるような機会があったら、推してくださっていた方々にとってもうれしいかな、頑張りたいなとぼんやりと考えています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
昔からずっと気まぐれ自分勝手に好きなものを作っておりますが、現在まで多くの方々にあたたかく見守っていただいており、大変感謝しております。これからも自分の好きなものを作ることが好きなのは変わらないと思いますので、良かったらゆっくりとお付き合いいただけますと幸いです。
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