2016年度にBS・CS(有料多チャンネル)で放送されたオリジナル番組の中から、優れた番組・企画を表彰する「第7回衛星放送協会オリジナル番組アワード」の最優秀賞が6月12日(月)に発表された。同アワードで第1回から審査委員長を務めるノンフィクション作家の吉岡忍氏に、各賞の総評と作品に期待することなどについて聞いた。
——「衛星放送協会オリジナル番組アワード」では、どんな作品を求めているのですか。
(地上波放送に比べて)衛星放送は新しい放送システムであるだけに専門チャンネルが多く、決して一般受けはしないかもしれない。けれども、回を追うごとにシャープで深く掘り下げた作品が増えています。
この賞では、作り手の顔、個性が見える作品を大事にしています。作り手がおもしろがらなければ、画面は“死んで”しまいますよね。クリエイターは、独自の感性、モノの見方や考え方をむき出しにして、もっと画面にぶつけていい。もちろん、独り善がりにならず一定のクオリティーは必要ですが、熱が伝わるダイナミックな作品を求めています。いろいろな実験ができるのが、BS・CSの良さのはずですから。
——初回から審査委員長を務めていらっしゃいますが、審査で難しい点はありますか。
立ち上げの頃に比べると、今は各チャンネルのアイデンティティーがしっかり出て、作品づくりにも安定感があると感じます。応募作品の粒がそろってくると、審査委員が試されるんです。オリジナル番組アワードは、審査委員がそれぞれ点数をつけて一番点数の高いものを選ぶのではなく、すべて話し合いで決めています。人の意見を聞いて自分の評価が変わることもあります。こういう部分こそが審査をやるうえでの醍醐味(だいごみ)です。審査委員は私がいちばんニュートラルで、あとは癖の強い人ばかり(笑)。だから、意見をまとめるのが大変です。
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